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2020年1月12日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

 大阪・北浜。かつては証券会社が軒を連ねる株式取引の町で、東京の兜町と並ぶ金融の中心だった。バブルの頃までは大いに賑わっていたが、電子商取引の普及や東京への一極集中で、今ではすっかり活気は失(う)せている。

朝からにぎわいをみせる北浜テラス
(写真・湯澤 毅、以下同)

 そんな北浜で、かつて賑わいをみせていた頃には誰も目を向けなかった一帯が、今、おしゃれな人気スポットに変身している。「北浜テラス」と呼ばれる淀屋橋にかけての土佐堀川に面した一帯が、若者や外国人観光客の憩いの場になっているのだ。

 太陽が傾き、町が夕闇に沈んでいく頃が、最も美しい。カフェやレストランが設けたテラスに座り、川面を眺めながらグラスを傾ける。対岸の中之島公園ではレンガ造りの中央公会堂がライトアップされ、ムード満点だ。

 バブルの頃は、北浜側から川面を眺めることはできなかった。高い護岸堤防に目隠しされていたからだ。川に面したビルも窓を開けることなどまずなかった。臭うからだ。対岸の中之島公園もホームレスがたむろする場所で、カップルが歩けるようなところではなかった。川は、都会によくあるドブ川のような扱いがされていた。

官民挙げて「規制突破」

 それが人気スポットに変身したのは、官民挙げて取り組んだ、ある「規制突破」が実現したからなのだ。仕掛け人は都市プランナーの泉英明・ハートビートプラン代表だ。

【泉 英明(いずみ・ひであき)】
1971年東京生まれ。都市プランナー。2004年にハートビートプランを設立。現在、南海電鉄なんば駅前、山口県長門湯本温泉の再生も手掛ける。(写真右、左は「御舟かもめ」の中野弘巳さん)

 泉さんのアイデアは、堤防に面したビルオーナーたちで、堤防の上に張り出すテラスを作れないかというもの。京都の鴨川で夏の風物詩になっている「川床」を、土佐堀川でも実現してしまおうというものだった。しかも、常設だ。河川やその周辺は大阪府市だけでなく、国土交通省など様々な官庁の規制がからむ。

 「そんなことできるんかいな」

 泉さんたちNPOメンバーは淀屋橋から堺筋、今橋にかけて、土佐堀川に面したビルのオーナーを一軒一軒訪ね歩いた。2007年くらいのことだ。ちょうど、大阪府市と経済界による、「水都大阪」プロジェクトが進んでいた。大阪は市内をぐるりと川と掘割が囲み、明治の頃まで「水の都」と呼ばれていた。生活と水辺が結びついていたのだ。それを復活しようという試みだった。

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