2022年12月6日(火)

WEDGE REPORT

2019年11月6日

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木村正人 (きむら・まさと)

国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト。元産経新聞ロンドン支局長。米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師などを歴任し、2012年独立。近書に『欧州絶望の現場を歩く』(ウェッジ)。
 

──資本主義と自由民主主義に基づく秩序の未来をどう見るか。

エモット:資本主義が生き残るのは間違いない。結局のところ企業は本質的に社会的実体であり、社会的創造物だ。そして企業は変化する環境、金融、政治、技術に適応できる。予測できないのは、将来どのような種類の資本主義が支配的になるかだ。

 自由民主主義も繁栄するが、自由民主主義に基づく秩序が世界に広がるかというと話は別だ。自由民主主義国家ではない中国がルール設定の重要な部分を担うようになってくるからだ。中国がどんな形にせよ自由民主主義国として発展しない限り、自由民主主義に基づく秩序が世界に広がるとは思わない。

──ロボット、人口知能(AI)、ビッグデータの開発競争が経済的な地政学に与える影響をどう見るか。

エモット:技術開発の競争は世界にとってプラスだが、米中が競争に背を向け、それぞれ別個の開発に向かう恐れがあることを懸念する。例えば、米中、その他の国が別々の規制を持ち、完全に分離されたインターネットを持つような世界だ。米中間の不信と摩擦により完全に分離された技術発展が起きると、ガラパゴスの世界が出現する危険性がある。

──モノや資本、人の自由移動の未来はどうなるか。

エモット:米中貿易戦争や日韓貿易摩擦などモノの移動を損なう保護主義が見られるが、一時的なもので自由移動に戻る。資本の自由移動も次の金融危機が起きるまで残る。しかし、人の自由移動は移民への政治的反発があるため、すでに米国と英国で起きているように制限される段階に入り、後退するだろう。

──日本の課題は。

エモット:日本が抱える主な問題は人的資本だ。人口減少と高齢化に加えて、非正規社員、特に女性の非正規が訓練されずに雇用されている。日本の資源は人材しかない。テクノロジーを活用して生産性を上げなければならない。もっと多くの資源、私的資金、特に公的資金を大学に投入する必要がある。

 具体的には、大学を合併してより大きな大学をつくり、効率的に運用する必要がある。世界中のアイデアに自由にアクセスするため大学の国際化を進め、研究に力を入れる。それが優先課題だ。

現在発売中のWedge11月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■ポスト冷戦の世界史 激動の国際情勢を見通す
Part 1 世界秩序は「競争的多極化」へ 日本が採るべき進路とは 中西輝政
Part 2   米中二極型システムの危険性 日本は教育投資で人的資本の強化を
             インタビュー ビル・エモット氏 (英『エコノミスト』元編集長)
Part 3   危機を繰り返すEUがしぶとく生き続ける理由  遠藤 乾
Part 4   海洋での権益を拡大させる中国 米軍の接近を阻む「太平洋進出」 飯田将史
Part 5   勢力圏の拡大を目論むロシア 「二重基準」を使い分ける対外戦略 小泉 悠
Part 6   宇宙を巡る米中覇権争い 「見えない攻撃」で増すリスク 村野 将

  
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◆Wedge2019年11月号より

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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