From LA

2019年11月24日

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 そもそも人造肉は本当に必要なのか。酪農は大量のCO2を排出し、地上のリソースを大量に消費するため、今後の人口の増加に対応するためには現在の酪農では対応できない、という説がある。また動物愛護の観点から家畜を殺して食することを避けよう、という動きもある。それでも肉を食べたい、という人のために考案されたのが「肉の風味を持つ植物由来の食べ物」である。さもなければ別に大豆などの植物性タンパクを摂取するだけで済む話だ。

 環境面から見ても、確かにビヨンド・ミート、インポッシブル・フーズはともに「酪農などと比べて90%以上の水や土地、化石燃料の節約ができる」としている。しかし、工場内で生産される人造肉の場合、工場設備や温度調節その他で総合的に排出される二酸化炭素の量は養鶏農家よりも多い、とも言われている。

 また植物由来ではなく、細胞培養の手法を使う人造肉ではCO2の排出量だけを比較すると酪農とそれほど変わらない、とも言われる。極端な研究者は「環境面だけを考えるなら、人々が野菜中心の食生活にシフトし、週に1回だけ牛肉を食べる、あるいは2回鶏肉や魚を食べる、というスタイルの方が環境負荷は少ない」という説を唱えている。

 また現時点では人造肉は普通の肉と比べて価格が高い。そのため米国では菜食主義の人々の他、人造肉をあえて選ぶ、というのはアッパーミドルクラスで環境問題に敏感な人々、とされている。ごく普通の人々があえて人造肉を選ぶ理由は今の所存在しない。そもそも菜食主義ならばあえて肉の味に近づけた加工食品を摂取する必要性はそれほどない。

 もちろん来たるべき食糧難に備えてこうした技術の進歩は必要だろう。インポッシブル・フーズでは次のプロジェクトとして人造の魚肉開発を行う、という。人口の増加で海洋資源の枯渇も考えられるためだ。

 ただし成分だけを比較すると、人造肉は決して本物の肉と比べてヘルシーというわけでもない。カロリーはやや低いし脂肪分も少ないが、塩分は多いしカーブ(炭水化物)量も多い。レストランで人造肉を注文すると味の差をごまかすためか大量のソースがかかっていることも多く、合計カロリーは本物の肉を上回るかもしれない。

 全く別の例えだが、米国では喫煙の害への批判が高まり、蒸気を吸い込むタイプのタバコ製品が一時流行した。タールなどが発生せず、副流煙被害もない、ともてはやされたが、現在ではこの蒸気タバコで肺に炎症が起きる症例が報告され、トランプ大統領は蒸気タバコ禁止に動いている。同じようなことが今後人造肉に対しても起こり得る可能性はある。クリーンな環境で製造される食品、と言われるが、人工的に作り出された加工食品である以上、完璧なものではないからだ。

 バーガーキングへの訴訟は人造肉がある程度普及してきた証拠とも言えるが、その一方で今後のさらなる普及に対しての問題点を露わにするものでもある。人造肉は肉なのか、それとも肉として扱われるべきではない食品なのか。人口増に対応するための救世主なのか、ニッチな商品なのか。その答えが出るにはまだ時間がかかりそうだ。

  
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