仏具からeスポーツへ伝統工芸の新たな挑戦
東京、大阪でIT企業に勤務後、Uターン就職で地元富山へ帰ってきた堺谷氏は、「自らの活動を通して地元地域に貢献したい」という思いがあった。若者向けコンテンツとしてのeスポーツの魅力を地元の方々に伝えたが、当初は「ゲーム=遊び」という考える人が多く、なかなか理解を得られなかったという。
「地元の色々な人に話を聞くうちに、若者の日本酒離れや伝統工芸の後継者不足など、地域の課題が見えてきた」という堺谷氏は、地元の酒蔵でeスポーツ大会を開催し、大会受賞者に地元職人手作りの記念品を渡すなど、eスポーツを通して地域の課題解決のきっかけづくりに取り組んだ。
「ゲームと銅器の親和性を強く感じた」と話すのは、高岡銅器を専門に扱う佐野政製作所(富山県高岡市)の佐野秀充専務。Toyama Gamers Day2019の記念品として、奈良、鎌倉と並んで日本三大大仏のひとつである高岡大仏を装飾した高岡銅器製の表彰盾(右写真)を制作した。
高岡市では日本全国の仏具の9割を製造しているが、年々需要が減っているという。佐野政製作所でも、数年前からトロフィーや企業マスコット、家具や調度品など、仏具以外の特注品を請け負ってきた。 「ゲームと銅器の親和性を強く感じた」と話すのは、高岡銅器を専門に扱う佐野政製作所(富山県高岡市)の佐野秀充専務。Toyama Gamers Day2019の記念品として、奈良、鎌倉と並んで日本三大大仏のひとつである高岡大仏を装飾した高岡銅器製の表彰盾(右写真)を制作した。
eスポーツとの親和性について、佐野氏は「ゲームは二次元の世界だが、そのキャラクターや武器などが三次元の世界で立体化され、実際に手に取ることができれば喜びを得られるはず。同時に、金属ならではの良さを感じてもらえれば」と語った。また、仏具をはじめ、昔の日本家屋の家具には細かい技巧が施されていたが、最近の家具デザインが簡素化される傾向にあり、これまで培ってきた技術が衰えていく危機感を感じていたという。佐野氏は「複雑なゲームデザインを立体化する工程の中で、高岡銅器の高い技術を生かしていきたい」と、力強く語った。