2022年12月5日(月)

BIG DEAL

2020年1月10日

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桂木麻也 (かつらぎ・まや)

インベストメントバンカー

カリフォルニア大学卒業・内外の投資銀行に20年超の勤務経験を有する。クロスボーダーのM&Aに造詣が深い。著書に『ASEAN企業地図』(翔泳社)、『「選択肢」を持って「人生を経営」する』(ウェッジ)。

ASEANにおける中国企業の躍進

 さてここで資料8を見ていただきたい。これは拙著『ASEAN企業地図第2版』からの抜粋で、世界的なEコマース企業となった中国のアリババ・テンセントのASEANにおける提携の様子を示したページである。Eコマースは今やすっかり定着し、私自身、日用品、衣類、書籍などは、リアル店舗よりネットで購入することが多い。

なぜ日本企業の姿がないのか?

『ASEAN企業地図第2版』

 ただこのEコマースも、かつてはリスクの高い新しい事業領域に属しており、この中国企業2社も紛れもなくStart Upだったのである。不確実性の高い事業領域に積極果敢に投資をし、結果として規模を拡大した中国企業。その勢いに乗る形で、タイやインドネシアの有力財閥も彼らとの提携に動いた。

 特にタイでの提携相手はサハ、セントラル、CPといずれも日系企業と非常に関係の深い財閥である。その関係の深さにもかかわらず、ここに日系企業の姿が見えないのはいかなる理由であろうか。新しい事業というものは前例がない分、市場の成長を読んで事業計画を立てることが非常に難しい。いかに周到にデューデリジェンスをやっても、確証の持てない世界である。

 そもそも周到なデューデリジェンスなどできないと言ってよい。そこで事業に踏み切れるかどうかは、正に経営者の判断であるが、中国企業とASEANの財閥が組み、日系企業がそこには入れなかったという厳然たる事実がある。これはタイクーンによるトップダウン型の経営と、稟議制のコーポレート型の経営の差ということなのであろうか。いずれにしても、不確実性が高く経験値のない領域に踏み出す際の、経営判断の差であるのは間違いない。

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