2023年1月27日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2020年3月14日

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樋泉克夫 (ひずみ・かつお)

愛知県立大学名誉教授

中央大学法学部、香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士後期課程を経て外務省専門調査員として在タイ日本国大使館勤務。著書に『華僑コネクション』『京劇と中国人』『華僑烈々―大中華圏を動かす覇者たち―』(以上、新潮社刊)など。

[著書]

「毛沢東のよい子」

 自らの発言に忠実たらんとするなら、いまこそ汪洋は真っ先に王忠林を批判し、発言の撤回を求めるべきだろう。だが、そうはしない。どうやら習近平一強体制に在ってはモノ言えば唇寒し、であろうか。はたまた党の最高幹部になればなったで、その昔の「毛沢東のよい子」に戻ってしまうのか。いずれにして恐ろしくもあり、滑稽でもある。

 滑稽と言えば新型コロナウイルス対策にみられる安倍政権のドタバタぶりを批判するに事欠いてか、中国の対策インフラが日本より優れているとの声が中国在住日本人の一部から聞こえ始めたことだ。

 だが、その類のレポートを読んでいて気になったのは、じつは最新情報機器が存分に使われている点だ。たしかに中国における対策は、手探り状態の日本よりは優れているし、それ相応に人々の安全は保たれるかもしれない。だが、それら最新機器による情報インフラを経由して集められた膨大な個人情報は、いったい、どこで誰が収集・監理しているのか。常識的に考えれば、共産党政権が集中管理しているはずだ。

 1951年末、共産党政権は、全8項に及ぶ「愛国公約」の厳正履行を国民に求めている。

 冒頭に「反革命分子摘発」に関する条項が見られるのは建国直後の社会が不安定だったことの証左だろう。「デマを信じてはならない。デマに接した場合は直ちに発信元を探り、直ちに政府に報告せよ」などと厳格な相互監視を求めている。


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