世界の記述

2020年4月14日

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大西康雄 (おおにし・やすお)

元日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを歴任。

(mipan/gettyimages)

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、中国の対外貿易は不振に陥っている。今年1~2月の輸出額は約2925億ドル(前年同期比17.2%減)、輸入は約2995億ドル(同4.0%減)で71億ドルの赤字であった。

 対外貿易の不振は、世界の産業チェーンやバリューチェーンにおける中国の地位を脅かし、一部の貿易取引や企業が海外に移転する現象が見られており、投資先としての中国の地位低下を心配する声も聞かれるようになっている。こうした不安を打ち消すように、中国政府の関係部門は、外資系企業向けのサポートや外資系企業の誘致活動を強化している。

 早くも2月末のオンライン記者会見において中国商務部投資管理局長が、「感染症の影響で世界の供給チェーンにおける中国の位置づけが変わることはない」と強調。また、習国家主席がG20特別サミット(3月26日)において、グローバルサプライチェーンの安定擁護の必要性を強調し、中国が国際市場向けに制約原料・生活必需品・防疫物資等の供給に力を入れ、国際的責任を果たしていくとのメッセージを発している。

 支援施策の内容を見よう。例えば商務部は「新型コロナウイルスに対する積極対応、外資系企業に対するサービスや投資誘致強化に関する通知」を発出し、各地の商務部門に対し、(1)外資の正常な生産経営の回復支援、(2)外資関連の大型プロジェクトに対するサービス保障の強化、(3)外資誘致方法のイノベーションと最適化、(4)地域の状況に応じたポイントを絞った支援、(5)不断のビジネス環境改善、等を求めた。

 また、続く別の通知では、(1)一帯一路構想関連の重大プロジェクトの建設推進、(2)対外貿易管理プロセスの簡素化と法的サービスの強化、(3)対外貿易の新業態・新モデル発展の支援、(4)輸出信用保険支援の強化、等を付け加えている。

 内外の投資政策を統括・調整する立場の国家発展改革委員会は、「新型コロナウイルス流行に対応して改革を深化し、外資プロジェクト関連業務を立派に行うことに関する通知」を発出した。

 生産の回復や関係大型プロジェクトへの政策的支持に加えて、(1)ネガティブリスト(外資投資制限分野リスト)縮減の推進、(2)外資プロジェクト受理制度の便利化、審査手続きの簡素化、(3)奨励類のプロジェクトに対する免税手続きの改善、(4)外資系企業の合法的権益の保護、訪問による各地の発展改革委員会と外資系企業の交流強化、(5)関係各部門による重複管理の整理、(6)外資系企業投資奨励分野の拡大等、の推進を求める内容となっている。

 世界経済全体がシュリンクする中、これらの施策がどれほどの効果を上げるのか注目される。

  
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