WEDGE REPORT

2020年11月23日

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宮下洋一 (みやした・よういち)

ジャーナリスト

在欧ジャーナリスト。1976年生まれ。スペイン・バルセロナ大学大学院でジャーナリズム修士。『卵子探しています』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『安楽死を遂げるまで』(同)で講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ・外国人ぎらい』(PHP新書)がある。
 

 欧州各国で10月末、再ロックダウン(都市封鎖)が始まった。秋になり、新型コロナウイルス第二波の感染が拡大し、入院患者や集中治療室(ICU)の収容率が増加。第一波を超える脅威が訪れている。

10月末、観光都市・スペインのバルセロナでは夜間外出禁止令に反対する暴動が起きた (AP/AFLO)

 スペインは、夏場に解除した非常事態宣言を再び発出し、フランスやイタリアも飲食店の営業停止や交通規制、不要不急の外出を禁じるなど、欧州人は第二波の猛襲に困惑している。

 11月4日現在、欧州連合(EU)とイギリスの感染者は累計800万8149人、死者は22万8182人を超えた。中でも、イギリスでは4万7250人、フランスでは3万8289人、スペインでは3万6495人が感染し、亡くなっている。また、スペイン紙エル・ムンドによると、9月21日以降、人口10万人あたりの死者は、スペインが9.22人と最多で、フランスが5.55人、イギリスとロシアが4.76人、イタリアが2.79人。ドイツは0.84人と圧倒的に低い数値を示している。

 第二波の感染拡大は続くものの、死者の数は第一波に及ばない。1日の最高死者数がイタリア969人、スペイン888人、フランス605人(各国保健省調べ)だった第一波に対し、第二波ではそれぞれ221人、157人、288人(同)に収まっている。少ないと過信してはならないが、第一波と異なることは事実のようだ。

 なぜ、欧州では夏以降に感染爆発が起き、予想できた第二波の対策に暗中模索しているのか。科学の世界とは別次元において、欧州には独特の文化や生活様式があることが見えてきた。

パーティに参加した
若者の中で広がる感染

 「スキャンダラスで無責任だ」

 パリ・テノン病院感染学科のジル・ピアル部長は、欧州各国で次々と摘発される違法の遊宴「コビッド・パーティ」の現実について、そうため息をついた。外出禁止令が解除された夏場から、感染爆発を促した最大の要因は若者の違法パーティだといわれる。マスクを外し、酒やダンスに夢中になり、薬物にも手を染める。

 フランス国営放送は10月、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で客を集め、参加者のみが知る場所で主催されたパーティ現場に隠しカメラで潜入。唯一マスクを着用して潜入した記者に対して「麻酔科と蘇生科で働いている。いつも遊んでいる」と明かす医師の姿もあった。

 イギリスでも、野外レイブ(ダンス音楽)パーティに参加した若者たちが地域の感染率を高めたデータがある。8月には同国東部ハートフォードシャー州のボアハムウッドで若者600人が酒とダンスに酔いしれ、警察の取り締まりを受けている。

 10万人あたりの感染者数が欧州最悪を記録し続けたスペイン・マドリードでは、これらの〝極秘〟パーティが10月の約3週間だけで400件ほど見つかり、前月には2953施設が罰金の対象になったと地元メディアが報じた。バルセロナ大学に通うアンナ・マルティネスさんは「コロナを怖いと思わなくなった」と自信満々に答え、「遊びに行きたい人たちの気持ちだって理解できる」とも言った。

 スペインで二度目の非常事態宣言が発出された10月25日夜、若者は「自由が欲しい!」と街中で叫んで抗議した。陽性者の約3割がこのような交流の場で感染していることも、スペイン保健省のデータから明らかだ。

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