2022年10月2日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年2月10日

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 1月27日、正式に上院の承認を得て国務長官に就任したアントニー・ブリンケンは、国務省において、初の記者会見に臨んだ。ブリンケン氏にとっては、4年前に国務省を離れたばかりであったが、彼の認識は、4年前とは国際情勢も、国務省も変わり、全ての外交政策を再検討している、との事だった。

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 出席した記者たちの質問は、中東のイランやサウジアラビア、米ロ関係、米中関係等について多岐にわたったが、ここでは中国に関するブリンケン国務長官の発言を簡単に紹介する。

・米中関係は、今後の世界を前進させるのに、最も重要な関係である。それは対立の側面があり、競争的でもあるが、協力の局面もある。

・米中関係で協力できる分野が環境である。それは米国の利益、中国の利益、世界にとっての利益となる。地球温暖化に対応する具体的プロセスに向けて、相互利益に基づき、協力して行きたい。

・しかし、これは、より広い中国との外交関係の中で考えられなければならない。それは、中国との懸案事項も含まれる。

・ジェノサイドがウイグル人に対して行われたということに関する判断は変わらない。

 ブリンケン国務長官は、初の記者会見の最後に、米国の外交政策を遂行するにあたっては、国民への説明が重要だとした。そのためには、メディアとの関係も大切にするが、特に国民の代表機関である議会との関係を大切にしたいと述べた。議会から助言や支援を得ながら、米国の外交政策を総合的に展開したいとした。

 長年の国務省でのキャリアから、国務長官として初の記者会見だといっても、大変落ち着いて、自らの言葉で質問に応え、ブリンケンは安定した滑り出しを行った。上院外交委員会の事務局長を務めたこともあり、議会への言及も忘れなかった。外交予算や外交政策を動かすにも、米国議会は多大の権限を有す。それを承知の上での発言であった。

 中国に対しても、トランプ政権で強硬に行われた制裁等に関して、緩和の方向に行くのではないかと、そのような発言を求めるような質問があったが、安易に中国を期待させるような回答はせず、より慎重に、しかし外交的に言葉を選んでいた。ウイグル問題に関しては、ジェノサイド(虐殺)の認定を再検討することが国務省内で言われているのではという質問に、厳しく「ジェノサイドは行われた」と判断した。人権に敏感な議会を反映したものかもしれないが、ブリンケン自身がユダヤ人で、ホロコーストの生存者である家族を持つ等、個人的信念もあるのかもしれない。

参考:Secretary Antony J. Blinken at a Press Availability - United States Department of State(January 27, 2021)

  
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