2024年4月25日(木)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年4月10日

バイデンは独裁主義をどうみているのか?

 バイデン大統領は3月31日東部ペンシルべニア州ピッツバーグで、「民主主義においてコンセンサスを得るのは困難だが、独裁主義では意見の一致を見ることができるので、(独裁主義が)民主主義に勝てるとみている独裁者が世界には多くいる」と述べました。

 バイデン氏は独裁主義から民主主義と人権を守り抜くという強い信念を持って中国と対峙しています。一方日本の政治指導者は、海洋進出は米国、経済は中国に依存して「バランス外」ないし「二股外交」を展開してます。そして、バイデン政権が最も重視している人権問題では中国を刺激しないように制裁を課さずに、「強い懸念」という表現を用いて米国と足並みを揃えています。

 率直に言ってしまえば、人権問題に関して中国に「配慮」して、米国に「追従」する必要はありません。言葉ではなく、日本には「能動的な行動」が求められています。人権は普遍的価値であり、人権侵害をしている国に対して阻止する義務と責任があるからです。

 仮に他国が日本の民主主義を抑圧し、人権侵害をした場合、どの国が本気で手を差し伸べてくれるのでしょうか。バイデン政権の発足をきっかけに、日本は人権尊重の外交と企業経営に本格的に取り組む時期に直面しているといえます。

 次の日米首脳会談で、菅総理は人権侵害に対する制裁と、人権尊重の企業経営について語れば、バイデン氏から共感を得ることは間違いありません。仮にそれができないと、人権問題が主因となって、日米の溝はバイデン政権の下で今後広がっていくことになるでしょう。

  
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