2022年11月28日(月)

WEDGE REPORT

2021年4月23日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

当局、手の内さらすのを避ける?

 容疑者がすでに出国していることもあって、刑事事件としての立件は難しいと見る専門家が多い。

 サイバー攻撃やスパイ事件などの場合、犯行状況を把握、容疑者も特定しながら、あえて訴追を見送るのは捜査当局がしばしばみせる常とう手段だ。

 スパイ防止法など取り締まりの法令が不十分であることに加え、手の内を晒したくないという配慮が背景にある。

 非公表のまま事件を処理し、相手国に日本の捜査能力を示して委縮させ、今後への警告にするという狙いも込められている。

 今回のようにサイバー攻撃に関与した人物を特定、日本側の高い捜査能力を示したことは、まさに、この目的に合致する。

外務省は及び腰?

 事件の全容が、起訴、公判を通じて明らかにされることは期待できそうもないことから、包括的な法令の整備を求める声が高まりそうだ。 

 刑事責任が追及できないのは残念としても、中国人民解放軍の関与濃厚の事件に対して、日本政府は政治的、外交的にどういう手段をとるのか。

 ハッキングの標的にはJAXAのほか、三菱電機、日立製作所、IHI、一橋大、慶大などが含まれていた。いずれも宇宙開発、防衛産業に関与する機関、企業。機密情報が窃取されていたなら、日本の安全保障に重大な脅威になっていた。

 外務省総合政策局経済安保政策室は、筆者の取材に対して、「関係機関と連携をとりながら状況を確認中だ。(中国と接触する)いろいろな機会に何らかのことを伝えることになるだろう」と説明したが、率直にいって及び腰の印象は否めない。 

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