露呈した日本の準備不足
台湾の戦略的価値を認識せよ
米国では中国が台湾に全面的に武力侵攻する蓋然性は高くないとの見方が強い。しかし、習近平国家主席が任期中での統一を示唆する発言を強め、国際約束を反故にして香港に国家安全維持法を適用し、西側の批判を無視して新疆ウイグル自治区の民族浄化を進めてきた事実からも、習氏の発言をレトリック(巧みな弁術論)だと片付けるべきではない。また、中国の台湾侵攻の判断が、「実際の勝利の可能性」よりも「中国指導部が考える勝利の可能性」に対する認識が重要になるという見方は少数ではなくなっている。
台湾が中国の手に落ちれば中国は世界の半導体生産の6割を手にし、世界経済を支配する。戦略ミサイル原子力潜水艦がバシー海峡を自由に通航できるようになれば、世界の戦略核バランスは大きく崩れる。我が国は台湾の戦略的価値を改めて認識すべきだ。
何よりも今回の政策シミュレーションが我が国の台湾海峡危機への準備不足を浮き彫りにしたことは大きな成果であった。
※シミュレーションから得られた政策提言などについては、こちらをご参照ください
http://www.jfss.gr.jp/taiwan_study_group/#5
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台湾有事とは日本有事である——。日本は戦後、米国に全てを委ねて安住してきたが、もういい加減、空想的平和主義から決別し、現実味を帯びてきた台湾有事に備えなければならない。
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