今年初めには、台湾当局は半導体を含むリトアニア産業のために、2億米ドルの投資ファンド(基金)を設立したと報じられている。(なお、リトアニアはシリコンチップの製造に欠かせない希少商品である「石英砂」を生産するという)。ちなみに、リトアニアは中国の対外輸出全体の1%を占めるにすぎない相手国である。
米国はリトアニアと台湾の関係を支持
リトアニアにおいては、対中国、対台湾政策は、内政問題となっており、一部政治家の中には、台湾に傾斜しすぎることを懸念する声もあるようである。しかし、全体として、東欧諸国には、東西冷戦下で隣接するロシアとの関係で、種々の強圧を受けた記憶から、台湾に対する友好的姿勢が強まりつつある。
昨年末には台湾の呉外交部長(閣僚)が、異例にもチェコ、スロバキア両国を訪問した。中国は、今回のリトアニアの動きの背後に米国がいる、と見ているのだろう。リトアニアのケースをめぐって、中国当局の報道官は、米国は「台湾カード」を使うなと牽制している。
これに対し、米国務省報道官は、「米国はリトアニアと台湾が協力関係を深めることを支持する」、「今回のことはリトアニアが自らの主権を以て決めたこと、そして台湾にとっては、国際空間を広めることが出来ることは大変意義深い」との趣旨のコメントを出し、中国側の言い分を一蹴した。