2024年2月22日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年2月17日

 次に遠洋漁業の減少については、同漁業に影響が出たのは1977年に設定された200海里漁業専管水域の設定に始まります。しかしながら、日本の水揚げ量のピークは設定後の80年代でした。下のグラフの青い部分が遠洋漁業の推移ですが、近年では全体に与える影響は大きくないことがわかります。

漁業法の改正で参考にされたノルウェーの漁業

 70年ぶりと言われた2020年の漁業法の改正では、ノルウェーの漁業が参考にされました。大きく成長して近代化された漁船と陸上の最新生産設備だけを比較すると、とても同じようにできないのではないかという感想を、現地を訪問した漁業・水産関係者の方々からよく聞きました。

 しかしながら1990年から20年以上毎年ノルウェーを訪問し、その発展を自分の目で見て来た経験からするとそうではありません。初めてノルウェーを訪問した時は、まだ漁船は現在普通に見られる巨大かつ、豪華な漁船ではありませんでした。当時はまだ古い漁船と、今の日本と同じような加工設備規模でした。

 ところが毎年訪問するたびに、巨大化と近代化が続き立派になっていきました。今後はさらに凄い漁船と生産設備になっていくことでしょう。一方で日本の場合は、ほとんどの場合、時間が止まっているかのように、近代化が遅れてきました。

 両国の間の差は、水産資源がサステナブルな状態であるかどうかに尽きます。ノルウェーの場合は、5年後、いや数十年後も天変地異などが起きない限り、魚を獲り続けられることに確信が持てます。このため、中長期的な投資が積極的に行われています。働く人の環境もよく考えられており、2016年にノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)が漁業者(小型漁船含む)に仕事の満足度調査をしたところ実に99%が満足しているという結果が出ています。

 科学的根拠に基づく漁獲枠が厳格に定められていて、それが漁船ごと(一部例外あり)に割り振られているため、計画的に漁ができます。水揚げ量ではなく、水揚げ金額をいかに増やすか考えて漁が行われるので、水揚げは集中をさけて分散されます。このため受ける側の水産加工場も生産処理が間に合わないといったことがなくなり、高品質で価値が高い水産物を冷凍加工できるようになります。

 漁業者は、収入がサラリーマン層より高いために、わざわざ都会に出て働かなくても地元で高収入を得て生活ができる仕組みができています。このため、高齢化・後継者不足と言った声が聞こえてきません。ノルウェーでは漁業・水産業は成長産業です。

 一方でわが国の場合は、水揚げ減少による収入減や、後継者不足が問題です。サバなど魚が見つかると漁船は一斉に漁場に向かう仕組みとなっています。そして食用に向かない小さなサバ(ローソクと呼びます)まで一網打尽にしてしまいます。大きくなる前の成長段階の魚を獲ってしまうことを「成長乱獲」と呼びます。なお、これは漁業者の問題ではなく仕組みと制度の問題です。

 人間の成長と同様に、魚は突然成長しません。漁獲枠制度の不備から、さまざまな魚種で成長乱獲が起きており、日本の海は大西洋に比べてサバ、マグロ、マダラを始め、海の中の大型の魚が少ないことが特徴になってしまっています。親になって卵を産む魚(産卵親魚)になる機会を潰しているので、資源は悪化の一途を辿っていることが少なくありません。


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