2022年11月27日(日)

経済の常識 VS 政策の非常識

2022年4月16日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 日本の財政赤字が大変な状況にあるという話はずっと続いてきたが、思い出してみると、特に大変とされたのはギリシャの財政危機がきっかけだった。民主党政権時代の2009年10月から10年4月にかけて生じた危機で、このままでは日本もギリシャのようになってしまうと喧伝された。その後も、日本はギリシャのようにはなっていない。では、その後のギリシャはどうなったのだろうか。

(MarianVejcik/gettyimages)

ギリシャの財政危機の顛末と対策

 09年10月、ギリシャで政権交代が行われ、新政権の下で旧政権が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになった。ギリシャの財政赤字は、旧政権が発表してきた国内総生産(GDP)の4%ではなく、実際は13%であることが分かったのである。

 そこで新政権は、財政赤字を対GDP比2.8%以下にする3カ年財政健全化計画を策定するが、債務不履行の不安からギリシャ国債が暴落(金利は急騰)、株価も下落した。そこで10年4月23日、ギリシャは国際通貨基金(IMF)、欧州委員会、欧州中央銀行に金融支援を要請した。IMFなどは金融支援の条件として、超緊縮的な財政政策を採るように要求し、ギリシャは、それを受け入れた。

 その結果どうなったか。図1に見るように、ギリシャの財政赤字がピークであった09年から財政赤字を解消した16年までで、対GDP比で見て、政府支出は4.5%ポイント削減、政府収入は11.1%ポイント上昇し、財政赤字は15.3%からプラス0.3%に転じた。対GDP比で15.6%ポイント(4.5%+11.1%)の緊縮を行ったことになる(本稿のデータはすべてIMFによる。22年のデータはIMFの推計)。

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