2023年1月31日(火)

経済の常識 VS 政策の非常識

2022年4月16日

»著者プロフィール

 これを対GDP比ではなくて、図2に示すように、実額でみるとさらに大きな変化があったことが分かる。政府支出は32.2%減少、増税にもかかわらず政府収入は5.2%減少。対GDP比での変化より実額の変化がさらに大きい。

 政府収入が対名目GDP比で11.1%ポイント上昇したにもかかわらず、実額では5.2%も減少してしまったのは名目GDPが減少したからである。名目GDPは09年に比べて16年には26.0%も減少した。

 名目GDPが減少したから、政府支出の減少が緩やかで、政府収入が増加したように見えたのである。もちろん、実質GDPも09年に比べて23.5%と大きく減少した。

 日本経済研究センターの試算によると、ロシアがすべての輸出をできなくなった場合、ロシアの実質GDPは3割縮小するとのことである(日本経済新聞2022年4月12日朝刊「ロシアGDP、最大3割損失も 全ての輸出停止なら」)。もちろん、すべての輸出が途絶えるということはないから、これほどは縮小しないだろう。

 ウクライナへの非人道的行為にはこれ以上の懲罰が必要と筆者は思うが、ギリシャは別に非道なことはしていない。せいぜい税金を取らず働かないで酒飲んで楽しくやっていただけだ。実質GDPを23.5%も低下させるほどの懲罰が必要だったのだろうか。IMFなどはもっと寛大な処置ができたはずだ。

経済悪化は国家を衰退させた

 実質GDPが23.5%も低下すれば、雇用も大打撃を受ける。図3は、雇用を中心に財政危機前後の状況を見たものである。

 失業率は20%を大きく超え、雇用者数も雇用率(雇用者数÷人口)も低下した。それまで増加していた人口は減少に向かった。人口が減少したのは、仕事がないので他国に人口が流出したためである。


新着記事

»もっと見る