2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月26日

 4月7日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのデイヴィッド・イグネイシャスが、「ウクライナが(戦争の)第2ラウンドに身構える中、西側は(支援の段階を)引き上げる義務がある」との論説を書いている。

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 ロシアによるウクライナ戦争は、ロシア軍が当初目論んだ首都キーウ占拠およびゼレンスキー政権打倒とロシアの傀儡政権樹立に失敗したことは明らかである。戦争の第1段階はロシアの敗北で終わった。

 ロシアは第2段階として、兵力の再結集でウクライナ東部の制圧とウクライナの黒海沿岸地域の制圧を新しい目標としているように思える。ただ、この目標の達成も簡単ではない。

 東部においては、ロシア軍と親露派勢力がルガンスクとドネツクの両州を支配してきたが、東部における軍事バランスは、ウクライナへの西側の武器支援がS-300対空システム(スロバキアが提供し、米国が代わりにスロバキアにパトリオットを提供)、戦車、装甲車、先進型ドローン、長距離ロケット、大砲システムなどを含むものになっており、東部における軍事バランスは戦争開始前より相対的にはウクライナ側に有利になってきていると判断される。

 黒海沿岸地域については、対艦ミサイルが供与されることになっており、この制圧も簡単ではなくなりつつある。米国では戦争の長期化が避けられないとの意見が強くなっているが、それはウクライナが簡単に負けないとの見通しを意味し、プーチンがウクライナを加えた帝国の復活を夢見ていたとすると、その夢は実現しないことになったといってよいように思われる。

 ロシア国内での反戦運動は、今後、ロシア軍の不手際や損害が明らかになる中、徐々に強まって行くように思われる。クナッゼ元ロシア外務次官は、ロシアの外交官に良心の辞職をするように求めているし、元駐日大使のパノフは国家安全保障会議から辞職している。兄弟国ともいうべきウクライナへの蛮行を支持する人は多くないと見てよい。


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