そして74年3月に志村がいよいよ新メンバーとして紹介される。最初こそ何をやってもウケずに苦しんだものの、その後、加藤から主役の座を奪い、志村がドリフを牽引してゆくことになるのは、多くの人が知るところである。
令和にも刻まれるドリフの足跡
本書で印象的なのは演劇研究者としての著者がその視点でドリフターズを分析している箇所である。
『全員集合』は85年9月に最終回を迎えたが、16年間で803回にわたった放送の中で、平均視聴率が27%を超え、テレビ史に残る金字塔を打ち立てた。ドリフはその後も活動を続け、いかりやと志村の「確執」など、メンバーの人間関係も含めて話題になった。
令和の時代になってもなおドリフの番組はたびたび放送され、注目を集めている。圧倒的な実績であり、国民で知らない人がいないほどの存在感と笑いの記憶をもたらした。そして日本のエンターテインメント界に大きな足跡を残したグループの実像に迫った本書も、演劇史の中のドリフに正当な評価を与えた力作として記憶されるだろう。
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