2024年6月15日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年8月3日

 「確約」と言うのは恐らくゴルバチョフがNATOは東独以東には拡大しないとの約束があったと後日述べたことを指しているのであろう、しかし、たとえそうであっても書面の約束がある訳ではない。しかしバンドウの指摘は、今回何故ウクライナ戦争が防げなかったのか、抑止できなかったのかという重要な点に関係する。

 いずれ歴史家等が議論するであろうが、過去20年の間双方の間で現実主義的な話し合いや交渉が不十分だったのではないかとの感は否めない。それが二核大国の間の不満であれば尚更である。

欧州の防衛努力は不足している

 議論をすれば、何らかの対応が図られたかもしれない。当時西側はプーチンの不満の彼にとっての深刻さを正しく理解していたのだろうか。

 バンドウの批判は、アジアとの協力というよりも欧州加盟国の防衛努力不足に対する苛立ちから来ているように見える。大西洋主義者や共和党関係者は総じて欧州の防衛努力の不十分さには大きな不満を持ってきた。

 バンドウはオバマ民主党政権によるアジアへのピボット政策を批判しているのかと思ってみた。しかしそうだとしたらバンドウは間違っている。今や中国はロシア以上の構造的リスクになっている。米国とて、持てる資源は有限であり、優先順位に従って行動するしかない。そうであればアジアへのピボットは不可欠だ。

   
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