民主主義指数、腐敗認識指数と一人当たり実質購買力平価GDPの関係を、旧ソ連の欧州地域と東欧の国々で見ると、図1、図2のようになる。これらの指数と1人当たり実質購買力平価GDPの両方のデータが得られる国を選んでいる。民主主義の程度が高いほど、腐敗の程度が低いほど、1人当たりGDPが高くなる。
ここでロシアとベラルーシが、民主主義の程度が低いにもかかわらず、1人当たりGDPが大きい例外的な国であると分かる。ロシアについては、石油、天然ガスなどの資源によるものである。
ベラルーシが高い理由は、おそらく、原油、天然ガス、岩塩などの産出がある程度経済を支えていること(原油、天然ガスは国内消費の数割を賄える程度である)、ロシアから援助を得られていることにあるのだろう。ベラルーシの人口は940万で、ロシアが支えることは可能だろうが、ウクライナの人口は4500万で、ロシアとしては、搾取はしても援助できる規模ではない。
図1と図2から、当然、民主主義と腐敗の低さとの相関が高いと予想される。それを確認したのが図3である。確かに、民主主義指数が高いほど、腐敗の程度が低くなり、ベラルーシとロシアは、民主主義指数が低い割に腐敗の程度が高くないということになる。
もちろん、民主主義指数が高いから腐敗の程度が低いのか、腐敗の程度が低いから民主主義指数が高くなるのか、この図だけからでは分からないが、民主主義が報道の自由や野党の活動によって腐敗の程度を低めると解釈した方が自然だろう。
腐敗が経済発展を阻害する
民主主義のレベルが高いほど豊かなのか、豊かだから民主主義を実践できる余裕があるのかは分からないが、腐敗の程度が低ければ経済がより発展できるのは自明だろう。賄賂を取らなければ、インフラの建設はそれだけ順調に進む。開発途上国では、事業費の一定割合を賄賂として受け取るマダム/ミスター10%、あるいは100%という権力者がいることもあるが、予算が抜かれなければ、それだけきちんとインフラが建設できる。
また、国営企業が多ければ、売上はそれだけ政府の意向で変化して、人々のニーズにマッチするものではなくなる。国営企業を民営化すれば、自然と汚職は減少する。また、前述のように、民主主義は当然、言論の自由を含むので、スキャンダルは当然に書き立てられる。『週刊文春』と『週刊新潮』などの週刊誌は、日本の民主主義の増進と腐敗削減に、ひいては経済発展にも貢献している。