2022年12月9日(金)

World Energy Watch

2022年10月24日

»著者プロフィール
著者
閉じる

山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 欧州諸国から途上国まで、化石燃料調達と価格高騰に苦しんでいる。先進国が世界最大の化石燃料輸出国、ロシアからの調達量を削減しているため、輸出市場からロシア産化石燃料の一部が消え需給バランスが大きく崩れた。石炭と欧州での天然ガス価格は、史上最高値を更新した。

 世界が化石燃料調達に苦しんでいる最中でも、化石燃料利用に反対し英国ナショナルミュージアムのゴッホの絵にトマトスープをかける馬鹿げた行為にでる過激な環境団体もでてきた。かなり変わった価値観を持っている団体のメンバーは、手を接着剤で壁に付ける行為も行ったようだ。

 英国の過激な環境団体として知られる「絶滅への反逆」も接着剤で体を列車に固定する抗議活動を行っていた。反石油を訴える団体は石油が原料の接着剤の利用に抵抗はないようだ。

化石燃料への投資を強めるウォーレン・バフェット氏(AP/アフロ)

 過激な環境団体のようなことは行わないが、主要国の機関投資家と金融機関も、気候変動対策として石炭を筆頭に化石燃料への投融資を削減してきた。結果、欧米では石炭の生産と供給が減少した。今の石炭の歴史的な高価格を作り出した原因の一つだろう。

 しかし、世界の脱炭素の流れに逆らい化石燃料に投資を行う著名な投資家もいる。約15兆円の資産を持つウォーレン・バフェット氏だ。

 最近では、米国の独立系石油会社オキシデンタル石油の株を購入し、さらに同社株の50%まで購入する許可を連邦政府エネルギー規制委員会から得た。米国第2位の石油会社シェブロンの株式も購入したと報道されている。

 脱炭素の流れに逆らい勝算はあるのだろうか。なぜ、他の投資家と異なる動きをするのだろうか。その背景は何だろうか。

エネルギー不足に苦しむ世界

 世界は化石燃料不足に苦しんでいる。主要先進国は世界の化石燃料貿易の約2割を供給するロシア(図-1)からの買い付け量を削減している。ロシアに戦費を渡さないためだが、それでも2月24日の開戦後欧州連合(EU)から1000億ユーロ(約15兆円)以上の化石燃料購入代金がロシアに支払われた。

 ロシアは先進国が買わなくなった燃料をインド、中国などへ売っているが、販売数量は主要国の削減分には遠く及ばない。このため、世界の輸出市場からロシアの化石燃料のかなりの部分が消えている。当然供給量は不足し、価格は上昇する。

新着記事

»もっと見る