2024年4月25日(木)

WEDGE REPORT

2022年11月30日

 こうした動きは「潤(ルン)」と呼ばれ、今年の中国のひそかな流行語である。

 漢字に深い意味はない。ただ、発音をアルファベットで書くと「rùn」となり、英語の「run away」(逃走する)に意味が通じる──。つまり、中国社会に見切りをつけて国外に脱出する行為を指す。

移住とは異なる「潤(ルン)」

 もちろん、中国の富裕層が資産を海外に逃がしたり、複数の外国に生活やビジネスの拠点を構えることは以前から行われてきた。だが「潤」の特徴は、中国国内の生活基盤をほぼすべて処分し、家族ぐるみで海外に移民している点だ。

 「潤」を決断するのは、数億円以上の資産がたまった40~50代で、上海や北京など大都市出身のエリート層、職業は企業家や弁護士らが多い。少なくとも近い将来、中国に戻ることを一切考えないという、不退転の決意での出国である。

 現在、習近平政権の権力基盤は盤石とされる。庶民のレベルでは、中国を偉大な国家だと信じ、党や習近平を信頼してやまない人も数多い。

 だが、高学歴層や富裕層の間では、……

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Wedge 2022年11月号より
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ

バブル崩壊以降、日本の物価と賃金は低迷し続けている。この間、企業は“安値競争”を繰り広げ、「良いものを安く売る」努力に傾倒した。しかし、安易な価格競争は誰も幸せにしない。価値あるものには適正な値決めが必要だ。お茶の間にも浸透した“安いニッポン”─。脱却のヒントを“価値を生み出す現場”から探ろう。


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