2022年12月9日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年10月26日

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 党大会を直前に控えた10月11日、『人民日報』には「「動態清零」は持続できるし堅持すべきである」という論説が掲載され、改めて中国の人々の動揺を誘ったが、これは李強氏を党のナンバー2に堂々と据えるという予告であったのかも知れない。

 また、今回党内序列5位となった蔡奇氏は、去る6月に「少なくともあと5年は動態清零をやる」と発言して北京市民の不興を買った。しかし習近平氏の価値観から見れば「最もよく動態清零に貢献している忠臣」である。

期待と臆断で中国を語るなかれ

 外界の基準では説明がつかない党人事として、主席団常務委員会メンバーに、新疆での人権弾圧の張本人である陳全国氏が名を連ねていたことも見逃せない。陳氏は昨年末、新疆のトップの座を退き、農村工作指導小組副長という「閑職」に転じたことから、日本のメディアでは「極端な政策を進めた責任で左遷された」という憶測が流れた。しかし、「安定」こそが「中国の人権」である「発展権」の充足につながると称してイスラム教徒を弾圧する習近平氏の論理から見れば、陳全国氏こそ最も忠実だという評価になったと言える。

 またこのような人事を通じて、中共は改めて「新疆をめぐる西側の批判は全てデマであり、中共の新疆政策こそ科学的で正しく、新疆の発展と安定を真に保証する」というメッセージを発したと言える。

 中共は今や、一切西側・外界に妥協せず、堂々と「中国の道」を示すとしている。したがって外界も、それが如何に非合理で極端に見えるものであっても、「好転」の期待と臆断を戒めて、まずはその通りに読み取ったうえで、さまざまな可能性に備えなければならない。

 
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