2024年5月8日(水)

都市vs地方 

2022年10月27日

最も多くの寄附を受け入れた地方はどこか

 図1に見た通り、21年のふるさと納税は全国で8000億円を超えるまでに増加した。そこで、全国で最も多額の寄附を受け入れた地域を総務省の「令和4年度ふるさと納税に関する現況調査について」から見てみよう。

 表1はふるさと納税による寄附受け入れ金額ベスト30の市町村である。これを見ると、第13位の京都市を除いていわゆる大都市はランクインしておらず、地方都市が多く含まれていることが分かる。その意味では、このふるさと納税は地方への税源再分配という一定の役割を果たしているといえる。

 基本的に、寄附を受け入れるにあたって、自治体の規模は制約とはならない。うまいプロモーションができれば、たとえ小さな村でも全国から寄附を受け入れることは可能である。しかし、大部分が都市(City)で町は30自治体中7つのみで、残念ながら村は1つもランクインされていない。

 表1では「金額」をもとにランキングを作成したが、総務省の現況調査では寄附受け入れ「件数」も公表されている(表2)。これを見ると、おおむね受入件数が多い自治体が、受け入れ金額の上位にランクされているが、一部例外も見られる。

 例えば、福岡県新宮町、岩手県花巻市、鹿児島県大崎町は、金額のベスト30では下位であったが、件数のベスト30では表2の左側、上位14位までにランクインしている(表中緑色で表示)。さらに表2の中の青色で示した、和歌山県湯浅町、山梨県山梨市、熊本県高森町、福岡県福智町、そして北海道当別町は、金額ベスト30ではランクインされていなかった自治体で、件数ベスト30で新たにランクインされた自治体である。特に、最後の2つの福岡県福智町、北海道当別町は金額ランクでは50位台からのジャンプアップとなっている。

 そして、最も目を引いたのが、山梨県富士吉田市である(表中赤字)。富士吉田市は、金額ランクでは上位の9位にランクインしていたものの、受入件数では21位と大きく順位を落としている。しかし、これはより少ない件数で多くの寄附額を得ているとみることもできる。すなわち、寄附1件当たりの金額が相対的に大きいことを意味し、「効率的なふるさと納税モデル」ということもできる。


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