2022年11月28日(月)

WEDGE REPORT

2022年11月8日

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 10月29日に起こった韓国・ソウルの梨泰院での雑踏事故を受けて、尹錫悦政権の前途に暗雲が漂っている。ハロウィンを楽しもうと韓国有数の繁華街に集まった若者ら156人が死亡するという痛ましい事故に韓国社会が動揺することは理解できるが、なぜ尹錫悦政権に打撃を与えることになるのだろうか。

韓国・ソウル梨泰院の雑踏で若者ら156人が死亡した事故は政争の具となってしまうのか(AP/アフロ)

 その背景について、ある韓国外交筋は「韓国では保守政権のときに大事故や大事件が起こるというジンクスがあります」と指摘する。

 1987年に大統領直接選挙制が導入された韓国では、軍事政権の流れを汲む盧泰愚政権、初の文民出身大統領ある金泳三政権以降、保革が激しい勢力争いを繰り返してきた。ゆえに韓国では、李明博・朴槿恵・尹錫悦政権を保守政権、金大中・盧武鉉・文在寅政権を革新政権と呼ぶ。

 では、過去の保守政権である李明博大統領と朴槿恵大統領の執権下で、どのような大事故・大事件が起こったのだろうか。

 「李明博政権では2008年に狂牛病騒動が、朴槿恵政権では14年にセウォル号沈没事故が起こりました。いずれも韓国人の記憶に残る大事件です。これら事件がトリガーとなって政権への不信感が高まり、ソウル市内をキャンドル集会・デモが埋め尽くし、政権を終焉に導く原動力になりました」(前出の韓国外交筋)

 狂牛病騒動とセウォル号沈没事故は日本でも大々的に報じられた事件なので、ご存知の方も多いだろう。狂牛病や船の沈没と李・朴政権に因果関係はないが、社会事件が政争の具となり、ときの政権を打倒するエネルギーに変わるのは韓国社会の特性と言える。

 よって、本稿では2つの事件が政権にどのような打撃を与えたのか振り返りながら、尹錫悦政権の未来について論考していきたい。

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