ロシア軍による民間電力インフラへの攻撃で、未曽有のエネルギー危機に陥るウクライナ。北部では厳冬期には気温が氷点下20度にも落ち込むが、人々は電力や暖房の供給が極めて不安定ななかでの生活を余儀なくされており、凍死者が出る事態も懸念されている。電力危機により多くの経済活動も止まり、マイナス35%に陥ると予想されていた今年の経済成長率は、さらなる悪化が確実視されている。
背景には、ウクライナ軍が東部や南部の戦場で攻勢をかけるなか、前線で勝てないロシアのプーチン政権が防備が脆弱な民間インフラに攻撃を仕掛けている構図がある。ただ、ウクライナ国民の士気は高く、非道な攻撃に激しい怒りを募らせている。攻める側のロシアには焦燥感も浮かび上がりつつある。
妥協しないウクライナ国民の士気
「生活は確かに苦しいが、ウクライナ人の士気はまったく下がっていない。電力施設が攻撃されて、生活が厳しくなるほど、人々はロシアに対する怒りを募らせている」
キーウから聞こえてくる多くの声が示すのは、ロシア軍による攻撃で生活が厳しい圧迫を受けているにも関わらず、市民らはロシアへの妥協にはまったく傾いていないという実態だ。
別の市民は「われわれは2014年のロシアによるクリミア併合で思い知らされた。ロシアと妥協しても、結局彼らは再び攻撃してくるだけだ。ここで負けるわけにはいかない」と語り、安易な停戦はウクライナにとり、むしろ災いをもたらすだけという認識を示した。