2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年1月17日

 第一に、これまで以上に紛争と共存する緊張感に満ちた年になるだろう。ウクライナ戦争の出口はいまだ見えない。台湾を巡る緊張が下がる地合いにはない。北朝鮮についても、戦略的構図は抑止を基本としたものに根本的に変化している。この中で、紛争発生を抑止し激化を防ぐための緊張感を持った管理が必要となる。

 第二に、来年(2024年)の各種重要選挙に向けた国内政治情勢が国際情勢に影響を与える可能性がある。今年はトルコ大統領選挙を除き重要選挙は限られているが、来年は年初から目白押しだ。1月は台湾総統選挙、2月のインドネシア大統領選挙、3月にロシア大統領選挙、4~5月はインド総選挙、そして11月には米国大統領選挙がある。選挙活動は既に始まっている。これが国際紛争を巡る各国の対応の柔軟性を削ぎ得ることに留意する必要があろう。

この2023年にG7議長国となる日本

 第三に、このような難しい年において、日本は主要7カ国(G7)の議長かつ国連安保理非常任理事国として国際社会の主役の一人を務め、その責任は従来以上に大きい。ウクライナ戦争の結果、加盟国が少なく正統性には欠けるが同質性が高く突破力に優れるG7の意義は再評価された。

 責任は各種会合主催に留まらない。ウクライナ紛争解決・制裁・復興の舵取りに加え、北朝鮮、台湾を含むアジアの紛争への欧米関与の確保、東南アジア諸国連合(ASEAN、議長国はインドネシア)を含むアジアの同志国との提携強化は重要な課題だ。

 今年の多数国間会合は引き続きインド太平洋シフトであり、G20(20カ国・地域)はインド、アジア太平洋経済協力会議(APEC)は米国が議長国だ。中でも、インドの進む方向性が我々にとって親和性の高いものとなるように、舞台裏で十分協力・連携することが重要だろう。

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