2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月11日

 中国の新指導部は、経済的あるいは行政的改革を、共産党支配を維持することと矛盾しない範囲では許容するかもしれないが、党の政治的独占を危うくするような、如何なるイニシアテブも許さないであろう。

 本質的には、これは、新鄧小平主義(neo-Dengist)モデルである。それは、民主主義を拒否しつつ、資本主義を首尾一貫して明確に取り入れた、鄧小平のビジョンと一致している。

 新鄧小平主義者にとって、最大の危険は、勝つことのできない戦いをしているということである。鄧小平が今日生きていたとしても、一党支配の永続を確実なものにできたかどうかは疑わしい。中国社会は、今や、経済的繁栄だけではなく、政治的権利や、個人の尊厳を、強く望んでいる。

 新鄧小平主義者は、党にとって、事態を悪化させる可能性がある。党が、既存の憲法の実施を通じて一党独裁国家を改革しようという、最も穏健な政治改革へのアプローチを軽蔑し拒否することは、体制はあまりにも自己保身に汲々としているので、変革の可能性は、革命以外にない、という過激な見方を呼び起こす、と論じています。

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 Minxin Peiは、中国の内情に詳しい人物のようであり、この論説で示されている分析も、概ね正確なものでしょう。

 習近平の言う「中国の夢」については、かねてより、それは、ナショナリズムと共産党一党支配の継続であろう、と言われてきました。また、中国が法の支配を尊重し立憲体制となるまではまだ長い道程がある、というのは、ほぼ一致した見方と言ってよいでしょう。この論説もほぼ同様の内容ですが、特に5月半ば以降、中国内では反立憲主義キャンペーンが強化されて来ている模様であることを、具体的に指摘しています。

 米中首脳会談が、ほとんど実質的な成果なしに終わった背景には、5月ごろ以来の、中国の指導理念の硬化があったと言えるかもしれません。

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