2024年12月6日(金)

都市vs地方 

2023年3月27日

 今回のテーマは高齢者の寿命と口(くち)の関係である。表題の「高齢者は口には注意しよう」を読んで、高齢者の失言などにケチをつける内容かと思った読者もいるかもしれないが、今回はそれとは違う内容である。正真正銘、口から発生する健康上の災いの話である。

(yacobchuk/gettyimages)

 高齢者に死をもたらすというからには、まずはその高齢者の死因を統計的に確認しなければならない。国民の死因に関する公式の統計は「人口動態統計」(厚生労働省)によって明らかとなっている。

この人口動態統計は「人口動態調査」をもとに取りまとめられたものである。しかし、身の回りで何らかの死に直面した場合に、厚生労働省から係官がやってきて死因について調査するという話を聞いたことはないし、実際に経験した読者もいないのではないか。実は「人口動態調査」は「死亡届」が出された市区町村の役所で職員によって作成され、保健所を通じて厚生労働省に集約されるのである。したがって、今回紹介する死因に関する調査結果はサンプル抽出による調査ではなく、ほとんど全ての死が網羅された100%の統計データである。

 表1が実際の2021年の65歳以上高齢者の死因ベストテンである。第1位が悪性新生物、いわゆる「がん」であり、第2位が心疾患である。そしてそれにつづいて第3位の死因に「老衰」が挙げられている。老衰が死因の上位に入っていることは、日本の「長寿の象徴」とも言えることである。すなわち、死因のベスト3のうち1つが「病気による死」ではなく、ある意味で「天寿を全うする」形での死であるとみなせるからである。

(出所)厚生労働省「人口動態統計」(2021年)より筆者作成 写真を拡大

 さて、今回のテーマは口(くち)と寿命であるが、表1にあげられた10の死因の中には、一見して直接に「口の疾患」を表すものは見当たらない。しかし、ここでは第6位に挙げられている「誤嚥性肺炎」に注目したい。


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