それでも憧れは「日本での花見」
もう一つ、挙げられるのは、少数ではあるが、撮影したいがために、桜の枝を無理に引っ張ったり、折ったりするケースが今もあることだ。
3月22日、中国のSNSに、複数の若者が桜の木を激しく揺らし、大量の花びらが散る動画が投稿された。中国メディアによると、彼らはインフルエンサーで、桜が舞い散る様子を撮影したくて、わざと桜の木を揺らしたという。その桜は樹齢100年を超えるもので、SNSには「モラルに欠けたインフルエンサーはただちに規制されるべきだ」との批判が相次いだ。
批判を受け、インフルエンサーの所属会社はすぐに謝罪したが、このようなことは、インフルエンサーに限らず、各地で起きている。
むろん、日本でも、同様のマナー問題は起きており、中国人に限った話ではないが、SNSが日本より発達している中国では、有名なインフルエンサーは「炎上」しやすい。そのため、発覚するケースも多いのだが、それは悪いことばかりではない。
誰かがその証拠を撮影し、SNSに投稿することによって、問題行動は社会にさらされ、早めに正すことにもつながっている。インフルエンサーは「とにかく目立たなければならない」ため、お花見でも過剰、過激なことをしてしまいがちだが、SNSにはこのような効能もある。
お花見の楽しみ方が成熟してきた中国人にとって、いちばんの憧れは今も「日本に行ってお花見をすること」だ。3月26日、お花見シーズンを狙って来日した知人の中国人は成田空港に到着後、混雑するイミグレーション(入国検査)の様子を見て「外国人客が大勢日本に戻ってきている! 彼らの目的はお花見か?」とSNSに投稿していた。
ここまでお花見が習慣化してきた彼らにとっても、まだ日本はその本場という認識なのだろう。