東京をはじめ、全国各地で桜が満開となっているが、東京と似た気候の中国・上海や杭州、蘇州、南京などでも桜が見ごろを迎え、大勢の花見客で賑わっている。SNSなどの様子を見るにつけ、もはや「桜の名所といえば中国か?」というほどの盛り上がりと人気ぶりとなっている。
コロナ禍で訪日できない間に、中国人のお花見に対する考え方、楽しみ方は変わったのだろうか。日本のお花見とはどのように違うのか。
ネット上にあふれる「お花見情報」
東京で桜の開花が宣言された3月14日、上海の友人がSNSに桜の写真を投稿していた。上海の緯度は鹿児島県とほぼ同じくらいだが、気候は東京と似通っており、桜の開花時期もほぼ同じだ。その友人は早咲きの桜の写真を接写していたが、周囲の風景が写り込まない写真は、「ここは日本?」と錯覚してしまうほどだった。
SNSに載せる写真の撮影に気合いを入れる中国人は多いが、桜の撮影については、とくに力を入れている。今年は中国でも、人混みでのマスク着用義務以外、ほぼコロナの制限がない4年ぶりのお花見ということもあり、桜の写真を投稿する人は非常に多い。
上海の別の友人は、美しくライトアップされた上海市内の地下鉄・虹口足球場駅付近の夜桜の写真を投稿していた。この友人によれば、「今年はライトアップに力が入っているようです。あちこちの公園で、夜もお花見ができますよ。自分も何十枚も撮影して、いちばんよいものをSNSに載せました」とのこと。東京でも、六義園など一部の公園でライトアップはあるが、日本と違い、中国では夜遅くでもお花見できるところがあるそうだ。
この友人によれば、上海でお花見ができるスポットは年々増え続けており、ネット上には「お花見十大スポット」「お花見攻略」などの記事があふれているという。「攻略」とは、彼らが個人で海外旅行をする際、観光地、ホテル、ルートなどを自ら選定し、自由自在に旅をする、つまり「旅を攻略する」ことを意味するのだが、それをお花見にも当てはめて、こう呼ぶのだという。
これまで、上海の有名なお花見スポットといえば、魯迅公園、上海植物園などで、しかも、人々はただ公園内を散策して桜の写真を撮るだけだった。だが、近年は、その「中身」が充実、かなり変わってきているという。