2024年11月28日(木)

世界の記述

2023年4月21日

米下院議長や超党派議員と会談

 今回の蔡総統の外遊は、「民主主義パートナー共栄の旅」と銘打たれた。総統府によると、9泊10日の予定で3月30日夜に出発。米国時間の30日午前、往路の経由地、ニューヨークに到着した。米保守系シンクタンクのハドソン研究所で講演し、グローバルリーダーシップ賞を贈られた。

31日にグアテマラ、4月2日にベリーズを訪問後、4日に復路の経由地ロサンゼルスに到着した。蔡総統は翌5日、カリフォルニア州シミバレーのロナルド・レーガン大統領図書館でマッカーシー下院議長および米国の超党派の議員と会談した。

 台湾の中央通信社によると、蔡総統は4月6日(米西海岸時間)、同行記者団と懇談した際、同じころ馬前総統が中国で「(中台は)みな中国」と語ったことに触れ、「1970年代の論法だ」と批判。「両岸(中台)が互いに隷属していないことは、明確な事実だ」と述べた。

 蔡総統は7日夜、台湾桃園国際空港に到着して演説。今回の外遊を振り返り「台湾は圧力に屈することなく、世界との交流をやめることはない」などと述べ、「抗中」を強調した。

日中戦争ゆかりの地歴訪

 一方、馬前総統の中国訪問は、3月27日から4月7日まで。台湾メディアの公視新聞網によると、馬一族の郷里である湖南湘潭で、先祖の墓に参ることが訪中の目的で、他に南京、武漢、長沙、上海の5都市を訪問した。

 中華民国前・元総統の中国訪問は1949年以降初めて。馬前総統にはスタッフや馬氏の親族のほか、「馬英九基金会」の学生団体「大九学堂」所属の台湾の学生30人が同行した。

 馬氏の一行は3月27日に上海に到着。29日午前には、中華民国の国父、孫文が眠る江蘇南京の中山陵を参拝。南京総統府跡を訪ねた後、「南京大虐殺記念館」で犠牲者に献花した。翌30日には、湖北武漢に移り「辛亥革命博物館」を訪問した。

 4月1日は湖南省湘潭市の祖先の墓を訪問。同行した姉の馬以南氏、妹の馬乃西氏とともに祖父の馬立安氏の墓を拝んだ。湖南省では翌日、湖南大学で学生との座談会に臨み、「われわれの国家は二つに分かれている。一つは台湾、一つは大陸地区(本土)だが、皆われらの中華民国であり中国だ」と述べた。

 3日からは日中戦争中、中華民国の首都が置かれた重慶市を訪問。当時の蒋介石総統の官邸跡に造られた「重慶抗戦遺跡博物館」を見学。5日には上海に移動して、現地の名門大、復旦大学の学生と交流した。翌6日は、1937年の第二次上海事変時、中華民国軍が徹底抗戦した「四行倉庫」の戦跡に建つ記念館を見学した。

 馬前総統が7日に帰国した際、台湾桃園国際空港で開かれた記者会見で、国民党大陸事務部の林祖嘉主任は訪中の成果として、馬氏が、「92コンセンサス」に盛り込まれた「一つの中国」の原則を、「中華民国前総統」の立場ではっきり伝えたことを挙げた。

 「92コンセンサス」は中台当局が1992年に口頭で行ったとされ、「一つの中国」を前提に中身は中華人民共和国と中華民国がそれぞれ定める(一中各表)という内容。中国は「一中」のみ合意し「各表」は認めていないとされる。蔡英文総統ら民進党政権はコンセンサスの存在そのものを否定している。


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