2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年6月8日

 西安首脳会議については、この解説記事が言うように、中国が、ロシアが影響圏と考えている国々との関係を強化しようとしているものであって、ロシアと中国との中央アジアでの影響力構築競争における一つの局面ととらえるのが正解であろう。

今後は中国の存在感が増大

 この解説記事は、結論としては、ロシアはまだ支配的で多分より好まれている役者であるとしている。その評価に現段階では異論はないが、国際情勢は一つの方向に動き出すと、かなり早くその方向に動いていくものであり、中央アジアにおいては中国の存在感が今後大きく伸びてくるのではないかと考えられる。

 ロシアは中央アジアからエネルギーを買うことはないが、中国と中央アジア諸国間ではエネルギー貿易を増やす余地が大いにあり、レアアースの開発精錬でも協力し得る。出稼ぎ労働については、中央アジアの人はロシア語に堪能な人が多く、ロシアで働くことを希望する人が多いだろうが、中国の賃金がロシアよりずっと高い状況がすぐに出てくるだろう。これらすべてが中国のプレゼンス増大につながるだろう。

 C5サミット後、習近平は内政不干渉などとともに、各国の領土の一体性の尊重を強調している。これは、特にカザフスタン北部はロシア人の居住地域であり、プーチンが東部ウクライナ併合で振りかざしている論理によれば、ロシアに併合されるべき地域である。カザフスタンのトカエフ大統領がロシアのウクライナ侵攻、ウクライナ領土の併合に反対する理由がここにある。

 中国もトカエフ大統領を支持する以上、ウクライナでのロシアの侵攻を非難すべき立場にある。ただ中国は矛盾したテーゼを平気で両方とも支持することがある。

 プーチンは今回のG5首脳会談には不満を持っていると思うが、いま中国に異を唱えることはとてもできないだろう。

 ロシアはウクライナ戦争のせいで、旧ソ連諸国地域での地歩を中央アジアでもコーカサスでも失ってきていると言ってよいと思われる。

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