2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年6月19日

 5月26日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)に、Pancevskiドイツ特派員とMackrael記者が「ヨーロッパはウクライナ停戦を進めて西側を分断しようとする中国の試みをはねつける。欧州の高官は北京が正直な仲介者である能力を疑問視している」との解説記事を書いている。

(Albert_Karimov/gettyimages)

 ウクライナ戦争の停戦のために、キーウ、ワルシャワ、ベルリン、パリに派遣された中国の李特使は、欧州の米国の同盟国は自立すべきで、ロシアにその占領地域を保持させたまま即時の停戦を行うよう提案した。

 欧州高官はモスクワと緊密な関係をもつ中国が正直な仲介者となりうる能力を疑問視し、ロシア軍がウクライナから撤退するまで平和は不可能であると述べた。李と会った高官は「紛争の凍結はロシアが撤退しない限り国際社会の利益にならない。米欧を分断するのは不可能で、欧州はウクライナ支援を続ける」と李に述べたと言う。

 ウクライナ戦争は民主的西側と権威主義の中ロの対立の中心的前線になってきている。北京はロシアが西側の経済制裁の対象となる中、ロシアにとっての経済的生命線になっている。北京は大量のロシアのエネルギーを買い、軍民両用の半導体その他の電子部品の輸出をウクライナ戦争開始後、増やしている。

 習近平は3月にモスクワでプーチンと会い、両国は多くの「同じような目標」を持っており、協力と相互作用でこれらの目標を必ず達成すると述べた。欧州諸国は中国の和平計画とロシア支持は、北京は中立ではなく、ロシア寄りであることを示すと言っている。

 欧州は、以前は中国により柔らかい対応をしていたが、最近は経済安全保障と貿易で米国の立場に近くなり、中国への警戒心をもっている。

 米国は、中国の停戦の呼びかけを「ロシアの征服の承認になる」と言っている。欧州もロシア軍の撤退なしではウクライナの平和はないという事で米国とほぼ同調している。

 仏外務省は、フランスはウクライナの公正で永続する平和に中国は建設的な役割を果たしうると信じるとすると共に、ウクライナの主権と領土一体性の尊重の必要性を強調し、フランスと欧州連合(EU)は長期にわたりウクライナを支援する決意であるとの声明を出した。

 ポーランド外務省は「ポーランドは侵略国家ロシアとの2国間関係の強化に努めるとの北京の声明に懸念を持つ」と李に伝えたと発表した。

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 このウォールストリート・ジャーナルの記事は、ウクライナ戦争について和平をもたらすための中国のウクライナ、ロシア、欧州諸国への働きかけを報じたものである。


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