外国人の不動産取引禁止
4月15日。南島北端の港町ピクトンの不動産屋。マネージャーに「現在でも中国人富裕層が物件を漁っているの?」と聞いたところ「5年くらい前に外国人による買い漁りで不動産価格が高騰した時に政府は直ぐに外国人の不動産取引を法律で禁止した。例外措置としてオーストラリア人とシンガポール人は禁止対象外とした。それで不動産相場は落ち着いた」とのこと。
中国人の優良物件買い漁りを放任している日本政府は何を考えているのだろうか。改めて日本は不可解な国だと思った。
留学生を誘致する大学とホストファミリー
前述の元外交官氏によると外国人の若者が確実かつ最短年数で永住資格を得る近道(fast track)はNZの大学を卒業して就職する方法らしい。グリーンリストに掲載されている職種の専門資格を取得できる分野を専攻すれば一層有利になると。
4月20日。クライストチャーチの国立カンタベリー総合大学訪問。創立150年の名門大学。学生数約1万7000人、内留学生約2200人。
大学付属の英語学校の学生課によると当日時点の語学留学生は231名。国別では中国、日本が多い。次にタイ、南米、サウジが続く。中国人はコロナが完全に収束すればさらに増える見通し。ロシア人はウクライナ侵攻後ゼロ。
個々の希望と英語レベルに応じてカリキュラムを作成。留学期間は3カ月から半年が多い。驚いたのはホームステイの家賃。朝食・夕食付きで一律週NZ$315、つまり3万円以下。ホストファミリーがボランティア精神で部屋を提供するので格安に抑えられているという。
したたかな中国人留学生、NZで就職し永住資格取得後に家を買う
カンタベリー大学教務課によると留学生の6割ほどが中国出身。最近はインド人留学生も増えているという。中国・インドの留学生はほぼ全員卒業後NZで就業するという。
図書館で山東省青島出身のウェン34歳に話を聴いた。ウェンは青島の高校卒業後地元の大学に入学。しかし両親の強い勧めで中退し20歳でクライストチャーチ近郊のリンカーン大学に入学して財務会計を専攻。卒業後就職して数年後に永住権を取得。ウェンは元外交官氏が指摘したように最短年数で永住権を取得している。
リスキリングのため現在名門カンタベリー大学のデータサイエンス学科修士課程で勉強中。卒業後は金融機関でファイナンシアル・アナリストとして専門知識を生かしたいと。
彼女は四川省出身の旦那と結婚しており、最近古いマンションを売却して一戸建ての新築物件を購入。ちなみに永住権を取得した時点でNZ国籍と同様の扱いとなり不動産取引が可能になるとのこと。
旦那はキッチン厨房設備の設計施工で稼いでいる。両親をNZに呼寄せて同居することも可能だが、ウェンの両親はNZを旅行するのは大好きであるが住み慣れた青島で生活することを希望しているよし。
しっかりと中国とNZの両方の生活拠点を確保しながら将来設計するしたたかで堅実な中国人気質を感じた。
図書館を出てからキャンパスで会った広東省出身でNZ在住10年の女性は大学図書館のデータ管理担当。峡西省出身男子25歳は大学院で難関コースのコンピューターサイエンス専攻。
やはり中国人は“落地成根”、海外でも現地に根を張り逞しく生きている。
以上 第4回に続く
【修正履歴】
アンダーソン首相 → アーダーン首相
月額NZ$315 → 週NZ$315