国道を疾走するキャンピングカーとモーターボート
ニュージーランド(NZ)を自転車で走って最初に気付くのはキャンピングカーや牽引されているモーターボートがやたらと多いことである。日本ではキャンピングカーはまだまだ珍しく、ましてやモーターボートは稀だろう。ところが、NZではキャンピングカーやボートが極めて頻繁に道路を疾走しているのだ。さらにはマストを倒して牽引されているヨットも珍しくない。
NZでは少し大きな町にはキャンピングカー販売店がある。新車と中古を一緒に扱っている。南島北東部マールボロ―地方の中心都市ブレナムは人口2万8000人。キャンピングカー販売店のヤードには30台くらいの新車と20台くらいの中古が並んでいた。
大型バスサイズの新車は1900~2200万円。ミニバンタイプで800~1400万円。中古価格はおよそ半分から三分の一程度。牽引式のキャンピングトレーラーは新車で300~900万円。中古では100~400万円程度。
NZの人々はアウトドアスポーツが大好きでありキャンピングカーに自転車・ゴムボートなどを積んでいる。アウトドア用品専門店に行くと猟銃、釣り竿、テント、寝袋などで溢れている。
外国人旅行者に人気のレンタル・キャンピングカー
11月~2月の夏場のハイシーズンはホテルやモーテルの料金は倍以上に跳ね上がる。それゆえ宿泊料金を節約できて自由に移動できるキャンピングカーを利用する外国人旅行客は多い。キャンプ場で知り合った旅行者の過半はそうした外国人旅行者だった。
クライストチャーチ空港の東南のエリアにはレンタル・キャンピングカー会社が十数社軒を並べている。大手のキウイ、ラッキー、ブリット、マウイ、マイティ―、ジューシーなどなど。
某大手のオフィスで素敵なお姉さんから事情を拝聴。例えばモーテルでは2人で泊まるとハイシーズンなら1泊250~300NZ$(=2万1000~2万6000円)。キャンピングカーなら4人泊まれるサイズで1日200NZ$前後。2人用の小さいサイズなら140NZ$(=1万2000円)くらい。
キャンピングカーにはキッチン、冷蔵庫、電気コンロ、電子レンジ、トイレ、ベッド完備。夏場にはソーラーシャワーも使える。何といっても風光明媚な景勝地を自由に泊まれるとのセールス・トーク。
クライストチャーチ空港近くのキャンプ場で遭遇したアラフォーの海外放浪歴20年の日本人女性。設計の仕事が一段落したので3週間の休暇を取りNZを1周する計画。ハイエースより1回り小さいミニバンタイプをレンタル。寒くなり始める4月下旬スタートなので料金が下がり1日89NZ$=7500円也。
NZのキャンプ場事情、公営と私営の違いは?
本稿ではキャンプ場と称しているが、利用者の大半はキャンピングカーでの旅行者だ。偶に自転車旅行や徒歩旅行者に出会うが稀である。ホリデーパーク、キャラバンパーク、モーターキャンプなどと看板が出ている。
公営無料キャンプ場は大自然の中にあり設備がほとんどなく“汲み取り式トイレ”だけしかないという場所が大半。水道もないので公営無料キャンプ場で宿泊する場合には飲み水を携行しなければならない。
他方で私営有料キャンプ場は山間部や国立公園を除けば全国各地にある。全国展開している大手チェーンもある。徒歩や自転車の旅行者がテント泊する場合でも1泊20NZ$~40NZ$(1700円~3400円)。決して安くない。給電ポストを使用しないキャンピングカーにも同じ料金が適用される。
設備は充実しておりキッチン(普通は電子レンジ、コンロ、オーブン、冷蔵庫、調理器具が備わっている)、水洗トイレ、温水シャワー、ランドリー(有料で洗濯&乾燥で6~8NZ$=500円~700円)がある。さらにダイニングルームがあるところが多い。
公営無料キャンプ場は人気観光スポット
公営無料キャンプ場は市街地から離れた自然の景観の素晴らしい場所が多い。電気や水道もない大自然のなかだから設備もほとんどないのは当然なのだ。
キャンピングカーで旅行しているキャンパーは十分な水、食料を積み込んでおり冷蔵庫・キッチン・トイレも車両の中に備えているのでそもそもキャンプ場に何も設備がなくても困らない。
岬の先端、湖の絶景ポイント、大河の畔などの公営無料キャンプ場はキャンプ場の駐車スペースが足りなくなるほど人気スポットとなっている。