サプリメントに多いナチュラルミステイク
書籍「ナチュラルミステイク」は、植物由来の成分を含むサプリメントを摂り始めた後に突然死した少女のエピソードから始まっています。植物は、成長やエネルギー生成、繁殖などの通常の生命活動とは別に、さまざまな化学物質を作るように進化しており、それらは「植物二次代謝産物」と呼ばれています。
繁殖を媒介するハチなどを引きつけたり、葉などを食い荒らす昆虫や動物などに害を与えたりするための、特殊な化学物質です。自然が作った農薬だ、と表現をする人もいます。
植物がサバイバルするために作り出す化学物質なので、人にやさしいかどうかは無関係です。1マイクログラム(µg、1gの100万分の1)程度で人の致死量に至る物質が植物に含まれる場合もありますし、DNAを損傷する化学物質もあります。
DNAを傷つけるということはがんにつながる可能性があるということ。野菜にさえも、DNAを損傷する化学物質が含まれています。
食べてすぐに死ぬような急性毒性の強い化学物質を持つ植物であれば、人は「毒草」として気づきます。しかし、長い期間食べ続けてがんなど慢性的な影響が出る物質や、一部の過敏な人のみが反応する物質などは、見逃されてしまいます。
そのため、サプリメントにも含まれる可能性があるのです。しかし、米国でサプリメントは厳しい安全性試験を課されているわけではありません。
薬効を期待された成分でがんに
マクリガー博士は、古くからハーブ製品・漢方薬として用いられてきたアリストロキアという植物について、詳しく解説しています。1990年代にベルギーで研究され、腎臓病や尿路上皮がんの原因となっていたことがわかったのです。しかし、これらの病気は風土病として扱われていました。
調べてみると、世界各地で同様のアリストロキアの被害が出ていました。国際がん研究機関(IARC)は現在、アリストロキアをグループ1(ヒトに対して発ガン性がある)に分類しています。
ほかにも、数多くの自然の毒性物質が、気づかれぬまま摂取され、人に多くの被害をもたらしてきました。書籍「ナチュラルミステイク」では、さまざまな事例が紹介されています。