岸田内閣が年明け早々に召集される通常国会で、24年度予算を無事成立させ、目玉政策である子育て支援が緒に就き、春をめどに予定されている国賓待遇の訪米で派手なパフォーマンスを見せれば、政権が再び安定軌道に乗るという可能性も期待できよう。
そうなれば、対抗馬が現れないうちに秋の総裁選挙を迎え、いつの間にか再選されているという展開も、あながち非現実とはいえまい。
23年12月18日、朝刊各紙は岸田内閣の支持率が最低を記録したと報じたが、いずれも前月から微減か前月と同水準にとどまり、下げ止まりの可能性もうかがえる。永田町をウォッチしている専門家のなかには、冷戦終了後に日本の55年体制が終焉を迎えたことと比較して、「新冷戦がはじまったいま、わが国でも、岸田氏が公明党、日本維新の会、国民民主党を糾合して『真の保守政権』を促すという大きな役割を果たすかもしれない」(丹羽文生・拓殖大学教授)と予測する向きすらある。
まさに、岸田氏が描いている展開かもしれない。そうなれば「長期政権」の可能性も見えてくるが、そう簡単に事が運ぶかどうか。
あらたな問題生じれば万事休す
もし、岸田首相または岸田派が関連するスキャンダルが発覚したり、野党の攻勢などで予算審議が遅れ、成立の見通しが立たなくなったりした場合などは万事休すだろう。
1988年に発覚したリクルート事件では、89年春、通常国会の審議がストップ、当時の竹下登首相が退陣表明、自らの〝首〟を差し出して、ようやく予算を成立させた。〝総主流派体制〟といわれるほど党内基盤が強かった竹下内閣でさえ、スキャンダルに足をとられたのだから、党内基盤に欠ける岸田政権においてをやだ。
パーティー裏金疑惑では、議員を含む関係者の多くが立件されると予想され、今後の広がりは予測できない。江東区長選の違反事件で柿沢未途衆院議員が23年末に公職選挙法違反(買収)容疑と、選挙中に有料ネット広告を流した同法違反容疑で逮捕されており、今後の展開も気になる。
度胸が据わっているのか、事の重大さを認識していないのか、岸田氏には落ち着き払ったところがみえるが、24年に向けて、どういう戦略を考えるのか。
酒豪の首相、お屠蘇のおいしさも〝中くらいなり〟だろう。