全国平均の指数はどのようにして算出されるのかと言うと、堂島取引所が指数算出要領策定員会(全農、全集連、全米販、流通経済研究所などで組織)を設置して、そこで決められる。指数の基本データとして用いられるのは、農水省が毎月公表している各産地銘柄の相対取引価格が活用される。
これまでの関係者のみが見られる価格ではなく、広く公開される〝価格〟となり得る。堂島取引ではこの日本の平均〝米〟価が日経平均株価のように毎日ニュースで流れるようになればという大きな期待を持っている。
値上がりし続けるコメ業界のこの先
指数取引と同じぐらい画期的な取引改革は、現物市場と先物市場が連携したコメの取引手法が導入されることだ。コメの生産者や集荷業者、流通業者、実需者らの利便性を最大限発揮できることを目指している。売り手や買い手が自ら必要とする産地銘柄を現物として売ったり買ったりできるようにする。
その仕組みは、まず、堂島取引所が指定現物市場を指名する。先物取引でコメを購入している事業者は、自らが希望する売り銘柄、買い銘柄を納会前にオーダーする。それを指定現物市場で売り買いをマッチングさせる。
やや専門的になるが、標準品を取引する先物取引では、産地銘柄は格差を設定しての共用品として受け渡しされた。その際、取引の原則は「売り手勝手渡し」で買い手が希望する産地銘柄を買うことはできなかった。これが先物市場での買い手の不満であったが、新しい取引手法でこれが解決される。
実際にどのように先物市場を利用するのかは、所管省が本上場を認可してから堂島取引所が各地で説明会を開催することにしている。現在のスポット市場でのコメの実勢相場はコメが予想よりも獲れなかったことや、インバウンドとコロナ明けで外食・中食産業が活性化されたことによって毎月のように値上がりし続けている。新米が出回るまでの端境期にかけてさらに値上がりするものと予想され、かつてなく価格変動のリスクが高まっている。
1年先までの価格がわかる先物市場が再開されることは、コメの生産者にとっては24年産米の価格がわかり経営の計画が立てやすくなるというメリットがあるほか、流通業者、実需者にとって価格変動のリスクを回避できる。物価高や原材料価格の高騰で経営難に陥る企業も多い昨今の日本企業にとって一助となる仕組みになり得るのである。