2024年11月21日(木)

モノ語り。

2024年8月3日

 年末年始のご挨拶として手ぬぐいが贈られることも多かったそうですが、今では少なくなってしまいました。

守っていきたい、昔ながらのつくり方

 手ぬぐいの利用者が減るのに合わせて、つくり手も減っています。

 「手ぬぐいづくりの工程は、①図案描き、②型紙彫り、③紗張り、④のり置き、⑤染め付け、⑥水洗、⑦整理と続き、この後、1本ずつ切っていきます。紗張りというのは、型を補強するためにメッシュ状の布に漆を塗って万力で圧着します。90歳近くになるまで続けていた関東唯一の紗張り屋の女性がいたのですが、コロナを機に閉業されるので技術を教えてもらうと同時に、道具も譲り受けました。やっぱり、昔ながらのつくり方を守っていきたいという思いが強いのです」

濱甼髙虎「手ぬぐい」 

 紗張りの道具を見せてもらうと、その年季が入った様子に驚かされました。大きな万力には丸太が重しとして使われていて、それによって圧着させるのです。こうした道具を見せられると由布さんの伝統技術を残したいという思いがよく分かります。

 「手ぬぐいの絵柄は、干支のものについては毎年新しいものを出しています。今年は辰年なので『赤龍』をデザインしました。定番である小紋柄では『日本橋』です。そろばんを図案化して表現しています。どうしてそろばんかと言うと、商いの必需品、商いの中心は日本橋という見立てなのです。

 一方で、私の父がそうだったのですが、小唄を習ったり、全国各地のお祭りに顔を出したり、遊びの中から新しいアイデアを生み出していました。そういう姿勢はこれからも大切にしていきたいですね」

 「花火」など、季節の絵柄手ぬぐいもおすすめです。60本以上の注文であれば、オリジナルデザインの手ぬぐいもつくって頂くことができます。

高虎商店
東京都中央区日本橋浜町2-45-6 03-3666-5562
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Wedge 2024年8月号より
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ
JAPANESE, BE AMBITIOUS! 米国から親愛なる日本へ

コロナ禍が明けて以降、米国社会で活躍し、一時帰国した日本人にお会いする機会が増える中、決まって言われることがあった。 それは「アメリカのことは日本の報道だけでは分かりません」、「アメリカで起こっていることを皆さんの目で直接見てください」ということだ。 小誌取材班は今回、5年ぶりに米国横断取材を行い、20人以上の日本人、米国の大学で教鞭を執る研究者らに取材する機会を得た。 大学の研究者の見解に共通していたのは「日本社会、企業、日本人にはそれぞれ強みがあり、それを簡単に捨て去るべきではない」、「米国流がすべてではない」ということであった。 確かに、米国は魅力的な国であり、世界の人々を引き付ける力がある。かつて司馬遼太郎は『アメリカ素描』(新潮文庫)の中で、「諸民族の多様な感覚群がアメリカ国内において幾層もの濾過装置を経て(中略)そこで認められた価値が、そのまま多民族の地球上に普及する」と述べた。多民族国家の中で磨かれたものは、多くの市民権を得て、世界中に広まるということだ――


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