2024年7月23日(火)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年7月23日

世界的に増加する養殖

 下のグラフは、国連食糧農業機関(FAO)が発表した「世界の生産量 漁業と養殖」のデータです。青が漁業(海面)で緑が養殖(同)となっています。

世界の生産量 漁業と養殖(FAO) 写真を拡大

 漁業に関しては横ばいが続いています。欧米・オセアニアのように、すでに科学的根拠に基づいて漁業をしている国々は、資源の持続性を考え、実際に漁獲できる数量より大きくセーブして漁をするので、漁業での増加はあまり期待できません。

 一方で増加しているのは、一目でわかる通り養殖の方です。アトランティックサーモン、バナメイエビをはじめ、養殖抜きでは世界全体の供給を補うことはできません。その重要度は、世界人口の増加による需要増加で、ますます高まることでしょう。

魚を養殖する難しさ

 ところで、魚の養殖は簡単ではありません。大きな課題は、成長の過程で死んでしまう量が多いということです。

 自然界でも成長の過程で魚は死んでいきます。ところが養殖の場合は、限られたスペースの中で育てられます。このため、病気が発生して感染したり、赤潮が発生したりなど、さまざまな要因で一度に大量に死んでしまうことがあります。

 また、一度でなくても成長の過程で原因が良くわからないままに死んでしまうケースもあります。自然界で食べているエサと違い、偏ったエサになります。特に生まれたばかりの魚に与えるエサの選択が難しく、死んでしまうケースがよくあります。

完全養殖の難しさと経済性

 魚が獲れなくなったら養殖すればよいと考えている方は少なくないようです。しかしながら養殖というのは、技術、場所はもちろんのこと、エサをどうするかといった多くの課題があります。そして事業である以上、経済性が求められます。

 魚の養殖には主に2種類あると述べました。その一つで一時大きな話題になったのがクロマグロの完全養殖でした。しかしながら、その完全養殖のクロマグロの話題は聞かなくなりつつあります。

 主な理由は、採卵して成魚になるのは全体の2%くらいに過ぎず、とても歩留まりが低いので、経済性がよくないからです。また畜養に比べて生育から出荷までに1年程度多くかかるので、エサ代や人件費も多くかかります。

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