2024年11月21日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年7月23日

なぜウナギは高くなったのか?

 下のグラフはウナギの供給量推移を表しています。青の棒グラフが日本の生産量で、赤が輸入した数量です。

ウナギの生産量推移(水産庁)

 ウナギはもともと、特別なお祝いや人生の記念になる「ハレの日」の食べ物で高級品でした。それが、赤のグラフの推移でわかる通り、輸入品が急増して価格が大幅に下がり、スーパーなどで庶民の手に入りやすい価格になっていきました。

 価格が下がること自体はよいことなのですが、問題はその背後に起きていることです。安いウナギは、主に欧州で漁獲されたシラスウナギが中国に輸入され養殖されたものでした。安い人件費と豊富な供給量で、日本人の指導によりかば焼きにまで加工されて、大量に日本に輸出されていました。

 供給量減少の兆しは、欧州のウナギが07年にワシントン条約の付属書に掲載され、09年から貿易取引の制限対象となった頃から顕著になってきました。ヨーロッパウナギも絶滅危惧種(IA類)です。

 2000年には約16万トンも供給されましたが、近年ではその3分の1の5万トン程度で推移しています。その内、かば焼き製品については、2000年には中国から6万トン輸入し、価格はキロ1200円でした。23年は同1.8万トンでキロ2400円と倍の価格になっていました。

 欧州のウナギが絶滅危惧種になった背後には、中国で加工して大量に輸入していた我が国の巨大な胃袋が背後にあったのです。

暴騰するシラスウナギの価格

 養殖に使用する昨年(23年)のシラスウナギの輸入価格はキロ190万円でした。輸入品が9.1トン、国産が7トンの合計16.1トンが養殖に使われています。

 国内外合わせたシラスウナギの平均取引価格は、キロ約250万円。上述の07年に欧州のシラスウナギがワシントン条約の付属書に掲載された年の取引価格はキロ36万円でした。つまり輸入品は5倍以上に高騰しています。

 国産のシラスウナギの相場も暴騰していることはいうまでもありません。資源管理を怠った代償は、供給量減少により価格に跳ね返って消費者に襲いかかります。


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