国民皆保険制度が導入されているフィリピン
意外にもフィリピンでは健康保険の国民皆保険制度(Philhealth)が導入されている。日本の国民健康保険とほぼ同様の制度だ。これもドゥテルテ前大統領の隠れた功績の一つであると聞いた。フィリピンではどこの町にもPhilhealthと書かれた診療所を見かける。
2022年夏にフィリピン島巡りをしたときはPhilhealth診療所で新型コロナワクチン接種の行列をしばしば見かけた。保健省から派遣された若手女性役人が地方でのワクチン接種に対する啓蒙活動が予想外に進まないことを嘆いていたことを思い出す。
Philhealthとは保健省管轄下のPhilipine Health Insurance Corpの略称であり、Philhealthが認定した病院・診療所は提供した医療サービスに対して一定割合の還付をPhilhealthから受けることができる。
日本と同様に保険料は雇用主と被雇用者が折半負担し、医療費用の本人負担部分がある。それゆえ“救急車で運ばれた患者の応急措置は無償”というのは制度の中の特別規定なのだろう。
IT貴族の遊牧民(ノマド)を惹きつけるフィリピン
パラワン諸島の州都でもあるリゾート都市プエルト・プリンセサのホステルのラウンジで香港人の青年と出会った。彼はソフトウェアを開発しているITエンジニア。香港に住んでいて政治的に自由がなくて息苦しくないかと尋ねたところ「自分は世界中どこでもパソコンさえあれば仕事が出来るのでたまに香港に一時帰国するだけなので全然問題ない」とのこと。
かなり高収入を得ているようで将来は海外の気に入った場所に家を買う計画だ。フィリピンで仕事しながら3カ月過ごした後はバリ島で半年ほど暮らす予定とのこと。フィリピンはビザの延長も簡単だし気候も良く物価も安くITエンジニア遊牧民にとってはパラダイスだと絶賛した。
香港の青年がチェックアウトして数日後にインドネシア女子がチェックイン。彼女はインドネシアのカリマンタンから2週間の休暇旅行に来た。カリマンタンの財務省事務所に勤務。ある時パソコンで作業していたのでリモート・ワークしているのか尋ねたら「やり残した仕事を思い出したので同僚がフォローできるように作業手順書を作っていた」とのこと。
香港やインドネシアの若者と話していたらフィリピン含めてアジア各国が急速に変貌しているように感じた。日本はうかうかしているとアジアの中の単なるワン・オブ・ゼムとして緩やかに埋没してゆくのではないかと危惧した。
以上 次回に続く