2024年10月6日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年9月22日

フィリピン在留韓国人総連協会パラワン支部

フィリピン韓国人総連協会の看板

 4月13日。パラワン島のプエルト・プリンセサ市内を散歩していたらハングル文字の看板が見えた。韓国食品雑貨の店である。店の横にはUnited Korean Community Association(韓国人会協会連合)と英語表記されハングル表記はピルリピン(フィリピン)・ハンイン(韓人)・チョンヨン(総連)・ヒョプエ(協会)と読めた。韓国人総連協会のパラワン支部らしい。

 お邪魔すると中年の韓国女性がおりハングルで挨拶するとご主人を呼びに行った。奥から出てきたのが韓国人会パラワン支部長の金相基(キム・サンギ)氏である。放浪ジジイと同年の70歳。初対面で金さんの面倒見の良い明るいお人柄がうかがわれた。

 金さんはソウルの建設会社で技師をしていた。26歳の時にマニラ近郊のローコスト住宅建設プロジェクトに現場監督として派遣された。プロジェクト終了後にソウルへ戻ったが34歳の時に建設会社を辞め一家でマニラに移住。マニラで十数年間建設関係の仕事をした。

 二十数年前に自然環境の良いパラワン島に移り韓国食品雑貨の店を開いた。コロナ前は韓国人会パラワン支部の会員は200人ほどいたがコロナ禍で韓国に帰った人が多く現在は50人程度。今後徐々に韓国から戻ってくるらしい。

 金さんの両親は戦前日本で学んで父親は早稲田大学、母親も東京の女学校を卒業。戦後も日本に残り、父親の日本人の親友が福岡にいたこともあり一家は戦後の一時期福岡に7年住んでいた。それで金さんも若干の日本語を覚えている。金さんが小学校に上がる頃に一家は韓国に引き揚げた。従って金さんは大学卒業まで韓国で教育を受けた戦後生まれ韓国人だ。つまり反日教育最盛期に成長して3年間軍隊で鍛えられた世代だ。

 金さんの1人息子は中国天津大学卒業のエンジニア。現在息子一家は米国在住。息子は韓国語、タガログ語、ビサヤ語、中国語、英語の5カ国語を話すと息子自慢。金さん夫婦の楽しみは夫婦で米国の息子一家を訪ねることだ。金さん一家3代のファミリー・ヒストリーから明らかなように韓国人は日本人よりも国民気質が国際的である。

フィリピンの辺境でのシニア世代の日韓友好

ソウル出身の金さんと放浪ジジイの古希老人ツーショット

 金さんによるとプエルト・プリンセサには20人ほど日本人が暮している。彼らはリタイヤしたシニアであり毎週土曜日は日韓対抗でゴルフを楽しんでいるという。金さんの趣味は釣り、ゴルフ、射撃。平日は釣り、土曜日はゴルフ、日曜日は射撃クラブという羨ましいルーティーンだ。韓国食品雑貨のお店は奥様とアルバイトに任せっきりらしい。釣り好きの日本人もいるのでしばしば一緒に所有しているボートで沖に出る。なんともアクティブな古希世代である。

 こうした草の根の日韓交流を通じて両国民の相互理解が深まることを期待した。

以上 次回に続く

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