2025年3月14日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月22日

 第二次政権に向け、トランプ氏のこれまでの関連発言は、中国の台湾武力侵攻への対応につき、関税引き上げのみに触れ武力を使う必要は生じないとの楽観的見通し、換言すれば軍事的コミットメントを避ける発言が目立ち、同時に、台湾に米国による支援に対し金銭的見返りを出すべしと発言したりしている。

 経済については、不動産不況や若年失業の増大等の問題の存在を認めつつも、努力すれば乗り越えられる、とし、政府の各種施策に触れながら、基本的には「自信」を鼓舞するものになっている。

中国外交の手詰まり

 全ての言外にあるのは米国新政権との関係の不透明性だろう。これは、「外部環境の不確定性がもたらす試練……など、経済発展は新たな状況に直面しますが、これらの難関は努力によって克服できます」という挨拶の一説に凝縮されている。バイデン政権は米中関係への「ガードレール」を設定し不確実性低下を目指したが、トランプ政権下では、全てが不透明なのだ。

 その中で、中国が頼りにするのはロシアとの関係のようだ。挨拶発表前にプーチン大統領と新年メッセージを交換し、両国関係の一層の深化を確認している。これは現在の中国外交の手詰まりを示している。

 ともかく、中国にとって2025年は、経済面では刺激策が一定の効果を生じるかもしれないが、全体的には厳しいものになろう。それがどれ程厳しくなるかは、トランプの一挙手一投足にかかっている。

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