2025年3月14日(金)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2025年1月22日

 トランプの演説は、バイデン政権を、一つの困難にもろくに対応できない政府と批判し、自分がホワイトハウスに入ればそれはすぐに変わると論じるものであった。バイデン政権は、ノースカロライナのハリケーンにもロサンゼルスの火災にもお粗末な対応しかできないなどという演説を、前政権の担当者としてトランプのすぐ後ろに座らされたバイデンとハリスは、何を思って聞いていたのだろうか。終始、難しい顔をして座っていた。

 トランプは、自分が大統領に復帰した瞬間から、米国の衰退は終わり、輝かしい「運命」はもはや否定できないと演説したが、この「運命」という言葉を聞いて米国人は「明白な運命」という米国史上の言葉を想起したはずである。それは米国が拡大発展するのは神に約束された「運命」だという19世紀に用いられた言葉である。そして、自分が暗殺を免れたのは、米国を再び偉大にするために神によって救われたためだと述べると、聴衆は立ち上がって拍手した。

 トランプは、これから実施する政策についても紹介した。メキシコとの国境に緊急事態を宣言して軍を送り、不法入国をやめさせ、非合法移民を大量送還させる、化石燃料の使用を増やすなどといった考えには、周辺の共和党関係者が立ち上がって拍手する中、決して立ち上がらなかったバイデンとハリスだが、ハマスの人質になっていた米国人が帰ってくるという発言の時だけは二人とも立ち上がって拍手した。

 火星に星条旗を立てるとトランプが述べたときは、マスクが笑顔でポーズをした。トランプは、未来は我々のもので、「黄金の時代」はいま始まったと述べて就任演説を終え、会場は拍手に包まれた。

就任式後も続いたショー

 この祝祭は、ここで終わりではなかった。場を前夜祭と同じキャピタルワンアリーナに移して、続けられたのである。トランプ側はこれを屋外でできなかった「パレード」と位置付けた。

 トランプが登場するかなり前から会場は熱気に包まれており、トランプを支持した州知事や連邦議会議員らが登壇してかわるがわるトランプを讃える演説を行った。最後に、家族や親族をハマスに人質に取られている人々が壇上に招かれた。

 こうして舞台が整えられたのち、この就任式のために作られたファンファーレ「祝福と栄光」が鳴り響く中、まず幼子を抱えたバンス副大統領が登場した。そして、いつもの登場曲「大統領万歳」のメロディーにのってトランプ大統領が現れると会場は大歓声につつまれた。そのような中、観衆と握手しながらトランプが進むと、USAコールが巻き起こり、中には涙ぐむ人もいた。

 壇上に登ると、トランプは家族やこの選挙に貢献してくれた人々を、メラニア夫人を皮切りに次々とファーストネームで紹介していった。雑誌に出てくるモデルのような家族に聴衆は見入っていた。


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