2025年4月16日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月7日

 国内法は、米国人や米企業でなくても、米と取引をしている外国企業や個人にも域外適用される。その他の関係国も、OECD条約合意を受けて、国内法を制定した。

 日本も、98年以降関係法令を改正した。今回の決定は賄賂禁止の国際レジームを切り崩そうとするものだ。トランプの決定は、これまでの国際社会の発展の結果を崩すとともに、賄賂を再び野放図にし、米国を含む世界の経済取引を腐敗させることになるだろう。

国民の心やカルチャーにまで干渉

 FCPAの細則の再検討は、新司法長官ボンディが総覧するのだろうが、同氏はトランプの熱烈な支持者であり、今後の司法省の検討も余り信用できない。トランプは、「就任から3週間余りの間、少なくとも65件の大統領令」を連発してきた。同じ時期にバイデンが署名した数の倍以上だという。

 それは意図されたトランプの「洪水戦略」だ。トランプの正体が益々あらわになっている。これが就任演説で述べたトランプの「常識の革命」なのか。DEI(多様性、公平性、包摂性)政策やプラスティック・ストロー廃止を覆す大統領令など、トランプは国民の心やカルチャーの分野にまで干渉して来ている。

 2月12日、トランプは、ワシントンの珠玉の文化施設であるケネディ・センターの理事長に選出された。従来は超党派だった理事会から民主党理事が解任され、新理事会が全会一致でトランプを理事長に選出した。

 トランプは2月10日、「我々はケネディ・センターを管理下に置いた。彼らが見せているものが気に入らなかった」と述べた。何処の独裁国家の出来事かと見まごう。ロビーにあるケネディの大きな胸像の今後が心配になる。

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