米国大統領府のホームページは、USAIDの無駄使いの具体例として、グアテマラでの性転換とLGBT活動支援、セルビアおよびアイルランドでのDEI(多様性・公平性・包括性)推進など数多くの実例を挙げている。DEI関連経費は確実に削減されよう。
さらに対外援助の停止は、「中南米の権威主義的支配者に対する贈り物だ」との指摘がある。実際、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアおよびエルサルバドルの市民団体は、ルビオ国務長官が支援を継続してくれると期待しているが、トランプとマスクがそれを許すかは不明である。いずれにせよ、海外援助の新体制、削減すべき経費と残すべき経費の分別を早急に実施しないと、米国はこれまで築いてきた自由世界のリーダーとしての信頼を大きく損なうことになろう。
ブラジルで災害多発の可能性
今年11月国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)はブラジルのべレンで開催される。ブラジルのルーラ大統領は、アマゾン地域の森林保護のために「アマゾン基金」を立ち上げ、米欧日等多くの国から資金援助を得てきた。
トランプ大統領は、パリ条約離脱を発表済みであり、11 月のCOP30に米国は不参加となろう。ブラジルは数年前まで、強盗など人災は多いが、自然災の少ない国と言われていたが、この数年、アマゾン川上流の旱魃、南部地域の大洪水、世界最大の湿原での火災、夏の40 度を超える高温など異常気象が続いている。トランプ政権の気候変動に対する無関心は、ルーラ大統領との関係を一段と難しくするだけでなく、世界中の批判を集めることとなろう。

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