減り続ける日本と増え続ける隣国・韓国
下の右図の白い部分は日本の排他的経済水域(EEZ)を示しています。日本のEEZは447万平方キロメートル(㎢)と世界第6位の広さを誇ります。韓国はわずか48万㎢で日本の10分の1に過ぎません。
ところがその韓国に上の左のグラフの通り、水産物の生産量で肉薄されています。23年が最新の数字なのですが、傾向からしてすでに昨年抜かれている可能性さえあります。
ノルウェーにはすでに21年に追い抜かれています。ノルウェーのEEZは239万㎢で日本の半分しかありません。
ノルウェーとの比較では、隣に中国のような隣国がないからというコメントが出てきます。韓国の隣国は中国です。さらに海水温上昇についても、韓国は日本の隣国です。それなのになぜ韓国は増え続け、日本は減り続けているのでしょうか?
韓国との比較では、日本の生産量の減少の理由として定番のように出てくる「中国」と「海水温上昇」のせいといった言い訳は通用しにくいです。もっと根本的な国としての戦略の違いがあるのではないでしょうか?
伸びていく韓国の養殖業
下のグラフをご覧ください。韓国で伸びているのは養殖業です。85年時点では日本の養殖生産量は韓国より多かったことがわかります。それが06年に一気に追い抜かれて現在に至っています。
下のグラフは漁業での比較です。漁業については日本ほどではありませんが減少傾向にあります。韓国と日本はアジ、サバ、スルメイカなどをはじめ、多くの魚種で同じ水産資源から獲っています。国別の漁獲枠が必ずしも科学的根拠に基づいて設定されているわけではないので、現状の資源管理では漁業の回復への道のりはとても遠いです。
FAOによると23年の韓国の生産量(漁業と養殖)は362万トンでした。そのなかで養殖物の海藻類は174万トンと約半分の48%を占めています。さらに海藻類が養殖に占める割合は76%です。
海藻の中身は昆布60万トン、ワカメ57万トンとなっています。残りは恐らく世界で最も生産量が多いノリ主体ではないかと推測されます。ちなみに日本の海藻類の養殖量は30万トンで養殖量の34%を占めています。
これだけ生産量の傾向が異なると、個々の養殖業者の努力で何とかなるという段階ではありません。浅い海で養殖する海藻類にとって海水温上昇は、沖合の深い漁場での漁業より影響が大きいのは明らかです。しかしながら、増加傾向の韓国とは対照的に、日本では海藻類の養殖も減少が止まりません。



