メスのズワイガニを漁獲する日本へ韓国から苦情
下のグラフは韓国と日本のカニの漁獲量推移を示しています。ズワイガニ、ベニズワイガニ、ワタリガニなどのカニが含まれます。右肩下がりに漁獲量が下がり続ける日本に対し、韓国は凸凹があるもののグラフの起点である85年と比較して減少していないことがわかります。
なぜこのような差になるのか? その違いを象徴するかも知れないニュースが昨年(24年)11月にありました。
それは韓国からの、日本が輸出したズワイガニに関する苦情でした。韓国ではズワイガニのメスの漁獲を禁止しているのに、日本からメスや基準に達しないズワイガニ33トンが輸入されたというものです。
韓国側としては、資源の保護を考えてメスは漁獲していません。それなのに同じ資源(下図)を利用している日本が漁獲しているのです。
さらに安い価格で輸出して韓国産と競合すれば当然、漁業者の不満は募ります。日本が逆の立場であったら怒り心頭のはずです。
ズワイガニはオスとメスで大きさも価値も大きく異なります。ズワイガニは水揚げされても生きているので、日本が輸入している米国、カナダをはじめメスは海に放流されて産卵し資源を持続的にしていきます。
下の写真はズワイガニのオスとメスです。大きいのがオスです。可食部が少ないメスはオスに比べて価値が低いです。
カニの資源が非常に多いのなら別ですが、卵を持ったメスまで漁獲して資源に良いはずはありません。また、北海道ではまだ小さなオオズワイガニ(バルダイ種)がわいて獲れていますが、これも非常にもったいないことをしており、貴重な水産資源は数年で再び消えてしまうことでしょう。後の後悔先に立たず、時計の針は元に戻りません。


